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DAZN”証拠”は判定使用できず…G大阪vs横浜FMの「ハンド」が見逃された理由

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 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は2日、都内のJFAハウスでレフェリーブリーフィングを行い、J1第14節のガンバ大阪横浜F・マリノスでのハンド事案について説明した。

 5月20日に行われたG大阪対横浜FM戦では後半11分、G大阪のFWイッサム・ジェバリが左サイドを攻め上がり、ゴール前にクロスボールを送ると、クリアを試みた横浜FMのDFエドゥアルドの身体と腕にボールがヒット。すぐにVARチェックが行われたが、オンフィールドレビューが行われることはなく、G大阪のCKで試合再開となった。

 JFA審判委員会ではこの事象について「ハンドだったと考えている」と結論づけた。エドゥアルドの腕は身体から離れており、自然な位置にはなかったと判断したためだ。

 一方、VARレビューに至らなかった理由を分析するにあたって、一つの課題が浮かび上がったという。

 DAZNの公式中継では、ちょうどエドゥアルドの真横からの映像が使われており、その映像では腕とボールの接触も、腕の位置も明らかだった。そのため、この映像を使って判定できるのであれば、JFAの結論と同様にVARレビューが行われるはずだった。

 ところが審判委員会によると、DAZNで使われた映像はVARのオペレーションルームで使えるものではなかったようだ。JリーグにおいてVARで使用できる映像はDAZN公式中継で使われるもののうち12台のカメラで撮影したもののみ。今回、放送でクローズアップされたカメラはその対象外だった。

 そこでVARが使えるカメラの中で映像を探すことになるが、最も近いゴール裏のカメラは映像がブレていたため、腕に当たったかどうかも判別できず。またペナルティエリア横の16mカメラでは腕に当たった場面での腕の位置が不鮮明だった。その結果、VAR介入基準となる「はっきりとした明白な間違い」の証拠を取ることができなかったという。

 JFA審判マネジャーJリーグ担当統括の東城穣氏は、この一戦でのVARの判定に「ベストは尽くしてもらった」としながらも、映像を示しつつ「VARではこれだけやっても見つからない。(使える映像で)オンフィールドレビューしてどうですか?と問うたとしても、どうしようもなかった」と葛藤を述べた。

(取材・文 竹内達也)
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