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脳震盪による交代の新ルール、ハンドPKのカード基準…JFA審判委が2024-25競技規則改正点を説明

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説明を行う佐藤隆治JFA審判マネジャー

 日本サッカー協会(JFA)審判委員会は19日、高円宮記念JFA夢フィールドでメディア向けレフェリーブリーフィングを開催した。佐藤隆治JFA審判マネジャーは国際サッカー評議会(IFAB)が決議した2024-25競技規則の改正点について説明を行った。

 今回の改正点は主に以下の4点。JリーグではJ1が8月7日、J2が8月3日、J3が8月17日を適用開始日としている。

▽脳震盪による交代

 IFABはトライアル期間だった脳震盪による交代について、今回の改正で「各チーム最大1人まで、使用すると相手チームに通常の交代枠と交代回数が1つずつ追加」という新たな方式で正式なルールにすることを決めた。

 日本ではこれまで「各チーム最大1人まで」の方式が採用されていたが、今後は脳震盪による交代を行うと相手チームに通常の交代枠が1つ付与されることになった。なお、両チームが脳震盪による交代を行った場合も、それぞれ反対のチームに交代枠が1つ追加される。

 したがって通常の交代として5枚、脳震盪による交代で1枚、相手の脳震盪による交代実施による追加枠で1枚と、最大で各チーム7枚の交代を行うことになる。もっともJリーグは控え登録枠が7人のため、すべての交代枠を使用する場合は控えGKを投入することになりそうだ。

 その上で佐藤氏は第4審判員の負担を懸念しつつ、混乱を防ぐために交代の種類に応じて交代用紙を異なる色にするといった対策が行われる見通しだと説明した。

▽偶発的なハンドによるPK

 これまではゴールに向かったシュートに対してハンドの反則でPKを与えた場合、ほぼ自動的に大きなチャンスの阻止(SPA)としてイエローカードの対象となり、得点や決定的な得点機会の阻止(DOGSO)であればレッドカードの対象となっていた。しかし今回の改正により、偶発的なハンドに限ってカードの色が軽減することになった。

 これはトリッピングのファールなど、ボールにチャレンジした上でPKを与えてしまった際にカードの色が軽減することと同じ考え方となる。偶発的なハンドでPKとなった場合、今後はSPAならばノーカード、DOGSOや得点の阻止ならば警告に格下げされる。

「偶発的」と判断される例には体から離れていた腕にシュートが当たった場合などがある。その一方、ゴールに向かうボールを手で掻き出すなど意図的にハンドの反則を行った場合は軽減対象外となる。

▽PKのセット

 キッカーはPKを行うためにペナルティーマークにボールをセットするが、これまで細かい規定はなかった。稀にキッカーがギリギリまでゴールの近くにボールを置いて揉めることもあったが、今回の改正で「ペナルティーマークの中心にボールの一部が触れるか、かかっている状態」と明文化されている。

PKでのボールの位置


▽PKの侵入

 競技規則ではPKが行われる前にペナルティエリア内に侵入することが禁じられているものの、実際のところ厳格に判定されることは少なかった。その一方、VARの導入によって細かい侵入が確認できるようになったため、IFABは反則と判断するかについて侵入者の「影響」を重視するルールへと改正。キックの前に侵入した場合でも、その選手がGKやキッカーに明らかな影響を与えていない限りはそのまま続行となる。

 その一方、わずかな侵入でもこぼれ球に直接反応し、攻撃側が「ボールをプレー、またはボールに向かうことで相手競技者にチャレンジして、その後、得点する、得点しようとする、または得点の機会を作り出す」ことと守備側が「ボールをプレー、またはボールに向かうことで相手競技者にチャレンジして、相手競技者が得点する、得点しようとする、または得点の機会を作り出すことを妨げる」ことは反則となる。

 もっとも影響を与えなければ侵入してもよいわけではない。佐藤氏は「競技の精神としては入らないことが原則」と強調し、主審は従来通り侵入しないように選手へ声かけを行うとした。

PK時の反則に対する進め方


 JFAは競技規則の改正内容を公式Youtubeチャンネルでも説明している。


(取材・文 加藤直岐)

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加藤直岐
Text by 加藤直岐

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