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主将として待望の初白星…浦和DF関根貴大が果たした責務「共通認識を僕がみんなに伝えられるように」

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DF関根貴大

[3.8 J1第5節 浦和 1-0 岡山 埼玉]

 ここまで開幕4戦未勝利と苦しんでいた浦和レッズが、5試合目にして待望の初勝利を掴んだ。試合後、今季からチームキャプテンを務めるDF関根貴大は「今日勝てたことは嬉しいけど、これを積み重ねていかないといけない。喜んでいるだけではいけない」と気を引き締め直したが、この先につなげるためにも価値ある白星だった。

 この日の対戦相手は昨季のJ1昇格プレーオフを制して初昇格を果たし、J1でも開幕2勝1分1敗と勢いに乗る岡山。前半は浦和が地力の強さを見せて一方的に攻め込んだが、際どいオフサイドなどで先制点を奪えず、嫌な流れが漂っていた。しかし、後半もその攻勢を継続。立ち上がりから岡山がプレッシングの意識を高めてくる中、それを上回る圧力で攻め切ってみせた。

「ボランチがタイミングよく顔を出してくれていたし、(松本)泰志もチアゴ(・サンタナ)も裏だけでなく、足元で受けてくれるタイミングも合っていた。そこで何回かボールを持つ時間帯を作れたと思う」(関根)。先制点が決まったのは後半4分。左サイド起点の攻撃を右サイドに運ぶと、果敢に走り込んだMF安居海渡の折り返しからFWチアゴ・サンタナのゴールが生まれた。

 その後の試合運びには、これまでの4試合の反省が活かされた。しばらくの間は浦和が主導権を握っていたものの、岡山が後半14分にFWルカオを投入し、さらに同21分からは3-1-4-2にシステムを変えてくると、徐々に守勢に回る展開に。だが、そこでチーム内の意思疎通を徹底することで、戦い方の方向性は見失わなかった。

 その中でキャプテンの関根が果たした役割は大きかった。

「今日はどのタイミングで4-4-2(のミドルブロック)に戻すかであったり、前から行けない時の対処法は選手の中でもすごく話せていたし、僕も全員とのコミュニケーションが取れたのでそこが良かった」

「途中から入ってくる選手に対してもすぐにコミュニケーションを取りに行ったし、逆サイドにいたけど監督にも話を聞きに行ったし、全員の共通認識を僕がみんなに伝えられるように意識していた」

 相手の試合途中の変化にも適応できるよう、試合前の時点から、プレーが切れたタイミングに「どうやって時間を取れるかは意識していた」という関根。マチェイ・スコルジャ監督の意向だけでなく、遠いポジションの選手たちの意識をピッチ上でまとめ上げられるように努めていた。

「何をしていいか、わからなくならないように。いま何が悪いのか、何が良いのか。今日は(内容が)良かったから基本的に話すことはないと思っていたけど、いまの状況は大丈夫かという確認を取ることで、このまま続けていいんだと思えるし、後ろの選手も前が大丈夫だと思っていたら信じてついてくる。意思の疎通は大事にしていた」(関根)

 それが今季からチームキャプテンに就任した立場としての責務の果たし方だった。「そこはすごく変わりましたね。もちろん自分のプレーも集中してやらないといけないけど、それ以上のものがこの役割にもある。それは責任を持ってやっています」。

 そうして掴んだキャプテンとしての初勝利。それでも関根は、特別な思いは「あまりない」と言い切った。

 この勝ち点3はあくまでも出発点だからだ。「これを繋げないといけないほうが強い」と力を込めた関根は「この一つ勝ったから何かが変わると信じてやっていたし、じゃあ次は本当に変えないといけない。次の試合にこの勝利を活かさないといけない。まだ何も喜べない」と早くも次節・鹿島戦(16日)までの1週間を見据えていた。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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