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国立で先発抜擢、ドリブラー封じの大役も…大宮23歳DF関口凱心「個人としては悔しさしかない」勝利の90分間を糧に

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DF関口凱心

[5.6 J2第14節 千葉 1-2 大宮 国立]

 相手ドリブラーとのマッチアップには大いに苦しんだ。それでもピッチに立っている以上、後に引くわけにはいかなかった。RB大宮アルディージャの23歳DF関口凱心は10試合ぶりの先発で、J2リーグ戦初の90分間フル出場。試合後には守備対応の反省点ばかりが口をついて出たものの、何より大事な勝利という結果にホッとした表情を浮かべていた。

 大宮は首位の千葉に挑んだこの日、3-4-2-1のフォーメーションで試合に入り、今季1試合の先発にとどまっていた関口は右ウイングバックで起用された。与えられた役割は相手の左ウインガー対策。スピードあふれるドリブラーのMF椿直起を抑えることだった。

 この役割は関口自身も把握していた。「今日はテツさん(長澤徹監督)からもスタメンに使った理由として、マッチアップする椿選手を止めるという任務が与えられていた。そこが相手のストロングでもあったし、そこを自分が止める、抑えるという意味でスタメン抜擢のチャンスをもらった」。しかし、その守備対応では大いに苦しめられた。

 チームは前半5分にFW豊川雄太のゴールで先制した後、やや受けに回る展開となったなか、同9分には椿の最初の突破を許し、クロスを上げられた。また同23分には右シャドーのMFカプリーニが相手に制限をかけられず、関口は椿とDF前貴之の2人をマークする形となって振り切られ、クロスからFW石川大地の同点ゴールを決められた。

 その後も椿の縦突破に厳しい対応を強いられ続け、なんとかゴールだけは奪われずにハーフタイムへ。ところがそこで長澤監督は関口を交代するどころか、よりマッチアップ要素が強い4-4-2のシステムを変え、「カバーはつけないからお前がやれと。誰も助けてくれないから、お前が防がないとこのゲームはやられるぞと送り出した」という。

 もっとも関口にとって、この采配と働きかけが大きな助けとなった。「前半は3バックだったけど後半に4枚にして、マッチアップする状態にしてくれたのでやりやすかった」(関口)。形勢としては相手が一枚上手で、縦にぶっちぎられた場面はあったものの、カード覚悟のファウルも駆使することで、得点に直結する大きな仕事はさせなかった。

 試合後、長澤監督は関口について「後半は素晴らしかった」と口にした。しかし、関口自身は課題を痛感していた。「何個か1対1で行かれるシーンがあった。1対1で自分は勝負しているなか、そこで負けてしまったので悔しさしかない。一番はチームがこのビッグマッチに勝てたことが良かったけど、個人としては悔しさしかない」。約5万人の大観衆を前にプレーした90分間の経験と反省は今後の糧にしていくしかない。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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