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苦しむ横浜FM破った元所属“19年J制覇”戦士たち…神戸FWエリキ「派手に喜ぶのは控えたかった」

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ゴールパフォーマンスを自制したFWエリキ

[5.21 J1第13節延期分 横浜FM 1-2 神戸 日産ス]

「ここは個人的にもたくさんの勝利と、たくさんのゴールと、タイトルを取ることができたスタジアムだった」。ヴィッセル神戸の先制点を奪ったのは、2019年夏から20年にかけて横浜F・マリノスでプレーし、19年は半年間の12試合8ゴールでJ1制覇に大きく貢献したFWエリキだった。

 0-0で迎えた前半19分、同じく19年のJ1制覇メンバーのMF扇原貴宏の浮き球パスにペナルティエリア内で反応。高く飛んできたボールを強引に収め、最後はGK飯倉大樹をしなやかにかわすループシュートでネットを揺らした。

「ホンちゃん(DF本多勇喜)が素晴らしいロングスローを入れたところから始まって、セカンドボールをタカ(扇原)が競り勝って、難しいシチュエーションでDFの間にパスを通してくれたので彼らのおかげとしか言いようがない」

 そうチームメートに感謝したエリキだったが、日産スタジアムでプレーした経験を活かしたフィニッシュワークだったようだ。「アウトサイドでコントロールした後、日産スタジアムはたまにバウンドが変わったり、急にポンと止まったりする何が起きるかわからない芝生なので、それが今回いいほうに行った。キーパーが届かないところで止まってくれたおかげでフィニッシュまで行けた」とにこやかに振り返った。

 また今季エリキが神戸に加入したことで再会が実現した扇原とのホットラインには「マリノスでプレーしていた時もいい関係で、人間的にも素晴らしい人だと思っていた」とご満悦。「神戸に来る時、タカがいるのはわかっていたのでまた一緒にプレーできることを楽しみにしていたし、マリノスでできたようなコンビネーションができると確信していた」と胸を張った。

 それでも自身のゴールによるセレブレーションは控えめだった。「家族とも今日の試合前に話していて、神戸の一員として点を取るためにここに来るけど、点を取れたとしても派手に喜ぶのは控えたかった。自分のサッカーキャリアを過ごした大切な思い出のクラブだから」。いまは神戸の一員となっており「自分にまたJリーグの扉を開いてくれて、自分のプレーで恩返ししたい、自分のサッカーを見せたいという思いで、点を取るつもりでもちろん戦っている」というが、古巣への敬意は欠かさなかった。

 そんな古巣の横浜FMは現在、J1リーグの最下位に沈んでいる。それでもエリキは「僕は極端にポジティブな人間。ブラジル人選手たちもそうだし、今日素晴らしいゴールを決めたキー坊(MF喜田拓也)や松原選手など個人で流れを変えられる良い選手たちが揃ったチーム。クラブも底力のある偉大なクラブなので、必ず巻き返していい成績を残して終わるだろうと思う」と太鼓判。「もちろん僕らよりは順位が下だとは思うけどね」とオチをつけつつ、思い出のクラブの健闘を願っていた。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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