長崎の愛媛戦ゴール疑惑にJFA審判委、VARがいても「クリアエビデンスとは言えない」副審の判断は「限界がある」

FW
日本サッカー協会(JFA)審判委員会は28日、都内でメディア向けレフェリーブリーフィングを開催した。今月3日に行われたJ2第13節のV・ファーレン長崎対愛媛FCで、FWフアンマ・デルガドのシュートがゴールに入っていた可能性のあるシーンについて、クラブや選手の意見には理解を示しつつ、「ベストを尽くしてくれたと思います」とノーゴール判定を尊重した。
この試合の前半34分、長崎が左サイドから攻め込んでいくとフアンマのシュートがゴールに向かったが、ゴールライン付近で相手DF細谷航平にクリアされた。もっともすでにゴールに入っていたようにも見え、長崎側はゴールをアピール。ただ判定はノーゴールで続行となった。
長崎は試合後、公式Xでゴールに入っていたようにも見える写真を掲載。試合2日後の今月5日には「当該シーンにおける判定の精査と説明」「審判技術の更なる向上に向けた取り組み」「審判の教育・研修制度の充実」を要望する意見書をJFAとJリーグに提出したことを報告した。
佐藤隆治JFA審判マネジャーはこのシーンを説明するにあたり、サポーターやクラブが撮影したものについて「場合によっては色々なところからのカメラとか、ひょっとすると静止画とかがあるかもしれないです」と言及。ただ「我々が振り返りをするときは基本、オフィシャルの中継映像、これからお見せするスカウティング(映像)。これをもってこの事象がどうだったか」を検証するとした。
その上で佐藤氏は中継映像を提示しながら、「絶対入っていますということは言えない」とコメント。続けてJ2では未導入のVARに関して、この試合でVARがいたと仮定した場合でも「現場が得点ではないと判断したものを覆すだけのクリアエビデンス(明らかな証拠)かというと、この映像ではクリアエビデンスとは言えない」と見解を述べた。
また、ブリーフィングでは広角のスカウティング映像も公開され、このシーンにおける主審と副審の立ち位置についても説明が行われた。副審は細谷がクリアする瞬間にゴールライン上に位置していたことが明らかになり、「非常にタイトなシチュエーションの中で、まずいるべきポジションにちゃんといて判断をしている」と佐藤氏。その上で、得点と判定しなかった背景を以下のように語った。
「どういったときに入った、入っていないかを確認するかですが、副審が立っていると(その先に)ポストがありますよね。ここは当然一直線なので、ポストから完全に(ゴール側に)ボールの球形が見えているときがゴールイン。それが少しでも欠けている、全体像がきちんと掴めなかったときはゴールインというふうには認めない」
「このシーンでいえば、(副審から見てボールとポストの間に)選手(細谷)がいますので、きっとポストと選手は一定数被っていると思います。ボールはさらにその奥にあるということで、なかなかここの位置から、本当に入っていると断言できるかと言ったら、ここでのポジションでは限界がある」
そのように人の目での限界があることを示すと、ペナルティエリア手前にいた主審についても「ここの判定だけを見るのであればもっとこっちでしょ(副審とは逆サイドのゴールライン上)と言えるかもしれないですけど、そんなことは現実的ではないです」と話し、妥当なポジションだったことを説明。密集地帯であること、ペナルティエリア内の主審にボールが当たってドロップボールとする場合は守備側GKからの再開になることなどから、現在のレフェリング方針では「ペナルティエリアの中に入ることはあまり推奨されない」ことも説明し、主審が判定することも難しい場面だったことを紹介した。
佐藤氏は改めて「VARがあればコンファーム(現場の判定で確定)する。コンファームするというのはノーゴールが正しいということではなくて、間違いなくゴールに入っていますよというクリアなエビデンスがなければ(判定を覆さず)現場の判定をコンファームする」と述べ、VARを導入していてもノーゴール判定のままだったことを強調した。
JFA審判委は同様の理由で、横浜FCが今月21日に行ったルヴァンカップ3回戦・FC町田ゼルビア戦の延長後半、DF福森晃斗からのCKがFW小川慶治朗に当たってゴールに向かうもGK守田達弥でゴールライン際で掻き出された場面についても、ノーゴール判定を尊重した。
(取材・文 加藤直岐)
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この試合の前半34分、長崎が左サイドから攻め込んでいくとフアンマのシュートがゴールに向かったが、ゴールライン付近で相手DF細谷航平にクリアされた。もっともすでにゴールに入っていたようにも見え、長崎側はゴールをアピール。ただ判定はノーゴールで続行となった。
長崎は試合後、公式Xでゴールに入っていたようにも見える写真を掲載。試合2日後の今月5日には「当該シーンにおける判定の精査と説明」「審判技術の更なる向上に向けた取り組み」「審判の教育・研修制度の充実」を要望する意見書をJFAとJリーグに提出したことを報告した。
— V・ファーレン長崎【公式】 (@v_varenstaff) May 3, 2025
本日もスタジアムやDAZNで熱い応援を本当にありがとうございました。
結果は、ホームで先制しながらも追加点を奪い切れずに痛恨のドロー決着。
勝利に渇望するもどかしい時間が続いています。ただ、諦めている選手スタッフは誰一人としていません。… pic.twitter.com/j0v3AT6Hwx
佐藤隆治JFA審判マネジャーはこのシーンを説明するにあたり、サポーターやクラブが撮影したものについて「場合によっては色々なところからのカメラとか、ひょっとすると静止画とかがあるかもしれないです」と言及。ただ「我々が振り返りをするときは基本、オフィシャルの中継映像、これからお見せするスカウティング(映像)。これをもってこの事象がどうだったか」を検証するとした。
その上で佐藤氏は中継映像を提示しながら、「絶対入っていますということは言えない」とコメント。続けてJ2では未導入のVARに関して、この試合でVARがいたと仮定した場合でも「現場が得点ではないと判断したものを覆すだけのクリアエビデンス(明らかな証拠)かというと、この映像ではクリアエビデンスとは言えない」と見解を述べた。
また、ブリーフィングでは広角のスカウティング映像も公開され、このシーンにおける主審と副審の立ち位置についても説明が行われた。副審は細谷がクリアする瞬間にゴールライン上に位置していたことが明らかになり、「非常にタイトなシチュエーションの中で、まずいるべきポジションにちゃんといて判断をしている」と佐藤氏。その上で、得点と判定しなかった背景を以下のように語った。
「どういったときに入った、入っていないかを確認するかですが、副審が立っていると(その先に)ポストがありますよね。ここは当然一直線なので、ポストから完全に(ゴール側に)ボールの球形が見えているときがゴールイン。それが少しでも欠けている、全体像がきちんと掴めなかったときはゴールインというふうには認めない」
「このシーンでいえば、(副審から見てボールとポストの間に)選手(細谷)がいますので、きっとポストと選手は一定数被っていると思います。ボールはさらにその奥にあるということで、なかなかここの位置から、本当に入っていると断言できるかと言ったら、ここでのポジションでは限界がある」
そのように人の目での限界があることを示すと、ペナルティエリア手前にいた主審についても「ここの判定だけを見るのであればもっとこっちでしょ(副審とは逆サイドのゴールライン上)と言えるかもしれないですけど、そんなことは現実的ではないです」と話し、妥当なポジションだったことを説明。密集地帯であること、ペナルティエリア内の主審にボールが当たってドロップボールとする場合は守備側GKからの再開になることなどから、現在のレフェリング方針では「ペナルティエリアの中に入ることはあまり推奨されない」ことも説明し、主審が判定することも難しい場面だったことを紹介した。
佐藤氏は改めて「VARがあればコンファーム(現場の判定で確定)する。コンファームするというのはノーゴールが正しいということではなくて、間違いなくゴールに入っていますよというクリアなエビデンスがなければ(判定を覆さず)現場の判定をコンファームする」と述べ、VARを導入していてもノーゴール判定のままだったことを強調した。
JFA審判委は同様の理由で、横浜FCが今月21日に行ったルヴァンカップ3回戦・FC町田ゼルビア戦の延長後半、DF福森晃斗からのCKがFW小川慶治朗に当たってゴールに向かうもGK守田達弥でゴールライン際で掻き出された場面についても、ノーゴール判定を尊重した。
(取材・文 加藤直岐)
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