4万人大観衆で異例の27歳J1デビュー!! 名古屋対川崎F担当した椎野大地主審にJFA審判委「今持っている力を全力で出してくれた」
今月23日に行われた名古屋グランパス対川崎フロンターレで、椎野大地氏が27歳の若さでJ1主審デビューを飾った。佐藤隆治日本サッカー協会(JFA)審判マネジャーは同27日のレフェリーブリーフィングで「今持っている力を全力で出してくれた」と振り返り、今後のさらなる成長に期待を示した。
1998年生まれの椎野主審は2022年に1級審判員に昇級し、24年にJ3でJリーグ主審デビュー。同年のうちにJ2でも主審を務めると、今季はJ2の11試合で笛を吹いていた。そして今月、Jリーグ担当審判員入りから1年半ほどでの異例ともいえるスピードJ1抜擢になった。
過去に27歳でJ1主審デビューを飾った審判員は飯田淳平氏(2009年清水vs柏)など、33年目を迎えたJリーグでごくわずか。それでも佐藤氏は「決して博打ではない」と強調した。国際主審の荒木友輔氏がVARを務めたほか副審、第4審判員、AVARもすべて経験豊富な審判員で組まれる中、本人には「あくまで審判チームとしてのボスは椎野だから。27歳だろうがデビュー戦だろうが椎野がコントロールをする」と伝えて自信を持って送り出したようだ。
そうして行われた一戦は4万55人の大観衆のもとで行われ、合計7得点が生まれる白熱した試合に。ただ椎野主審はFWキャスパー・ユンカーの相手選手の顔を蹴るプレーに対してレッドカードを提示するなど臆することなく裁ききり、試合を終結させた。
現地に足を運んでいたという佐藤氏は「(スタジアムが)ものすごく良い雰囲気で彼にとっては一生忘れられない試合になった。よくやったと思います」と総括。審判団からのサポートはあれど過干渉はなかったとし、「彼のレフェリングがハマった」と評価した。また椎野主審については「ものすごくコミュニケーションを取るとか表情を変えるとか、そういったレフェリーではない。決して体が大きいわけでもない」と紹介しつつ、世界的にも求められている毅然とした表情で「淡々と」大舞台で務め上げたことを称えた。
佐藤氏は今シーズン最初のレフェリーブリーフィングで「世界のサッカーがインテンシティの高いサッカーが求められていて、そこを裁く審判員のフィジカル、インテンシティの高さが求められている。するとどうしてもフォーカスされるのが若い審判員になる。VARなどのテクノロジーが入っても、いかに堂々とレフェリングするかが大事になっている中で、若いというのは一つのポイントになっている」とコメント。近年は国際大会での審判員若年化が進んでおり、JFA審判委としても若手レフェリーの育成を進めている中での今回の割り当ては審判界にとって明るいニュースになった。
ただ佐藤氏は「審判員が難しいのはやり続けること」とも話し、「どう続けていくか。毎試合ああいった試合には遭遇できないと思うので、きっと上手くいかないこともある」と力を込める。椎野主審は今季のJ2担当試合で、ドイツの審判インストラクターから厳しい指摘もされながら刺激を受けて成長してきたという。JFA審判委として「期待はできると思いますし、期待してもらっていいと思います」と椎野主審への信頼を示しながら、引き続き厳しく向き合いつつトップレフェリーの養成に励む構えだ。
なお椎野主審はJ1デビューを前に、天皇杯のモンテディオ山形対浦和レッズも担当していた。チームからも「落ち着いてやっている」と評価されたという中で、報道陣からは後半28分にMF中村亮太朗の得点がハンドの反則で認められなかったシーンについての質問も上がった。
この試合ではVARが導入されていない中、山形DF岡本一真のシュートに反応した中村がコースを変えて得点。ただ少しの間をおいて椎野主審が笛を吹き、ハンドでノーゴールと判定した。一部からは浦和の抗議を受けて判定を変更した可能性が指摘されていたが、佐藤氏は否定。以下のように説明した。
「あの試合はVARがない。ただコミュニケーションシステムがあり、(審判員が)4人いるので判定を変えることは決して間違っているわけではない。もちろんそこにはチームが同じようなタイミングで(ハンドをアピールする)リアクションをしているので、ひょっとするとそういう受け取られ方をすることはあるかなと。そこは気をつけなければいけないと思いつつも、現場は現場でそのシーンで集中してコミュニケーションを取っている。あのシーンでいえば副審もですし4thオフィシャル(第4審)もというコミュニケーションの中で、最終的にレフェリーがそういうふうに(ハンドと)判断したことは十分受け入れられる。現場で一発で答えを出すのが一番の皆さんの期待だとは分かりつつも、(主審からは)すべては見えない。特にVARがないので余計慎重にコミュニケーションを取っていることで、ファイナルデシジョンをするまでに時間がかかったというのは理解してもらいたいなと思います」
(取材・文 加藤直岐)
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1998年生まれの椎野主審は2022年に1級審判員に昇級し、24年にJ3でJリーグ主審デビュー。同年のうちにJ2でも主審を務めると、今季はJ2の11試合で笛を吹いていた。そして今月、Jリーグ担当審判員入りから1年半ほどでの異例ともいえるスピードJ1抜擢になった。
過去に27歳でJ1主審デビューを飾った審判員は飯田淳平氏(2009年清水vs柏)など、33年目を迎えたJリーグでごくわずか。それでも佐藤氏は「決して博打ではない」と強調した。国際主審の荒木友輔氏がVARを務めたほか副審、第4審判員、AVARもすべて経験豊富な審判員で組まれる中、本人には「あくまで審判チームとしてのボスは椎野だから。27歳だろうがデビュー戦だろうが椎野がコントロールをする」と伝えて自信を持って送り出したようだ。
そうして行われた一戦は4万55人の大観衆のもとで行われ、合計7得点が生まれる白熱した試合に。ただ椎野主審はFWキャスパー・ユンカーの相手選手の顔を蹴るプレーに対してレッドカードを提示するなど臆することなく裁ききり、試合を終結させた。
現地に足を運んでいたという佐藤氏は「(スタジアムが)ものすごく良い雰囲気で彼にとっては一生忘れられない試合になった。よくやったと思います」と総括。審判団からのサポートはあれど過干渉はなかったとし、「彼のレフェリングがハマった」と評価した。また椎野主審については「ものすごくコミュニケーションを取るとか表情を変えるとか、そういったレフェリーではない。決して体が大きいわけでもない」と紹介しつつ、世界的にも求められている毅然とした表情で「淡々と」大舞台で務め上げたことを称えた。
佐藤氏は今シーズン最初のレフェリーブリーフィングで「世界のサッカーがインテンシティの高いサッカーが求められていて、そこを裁く審判員のフィジカル、インテンシティの高さが求められている。するとどうしてもフォーカスされるのが若い審判員になる。VARなどのテクノロジーが入っても、いかに堂々とレフェリングするかが大事になっている中で、若いというのは一つのポイントになっている」とコメント。近年は国際大会での審判員若年化が進んでおり、JFA審判委としても若手レフェリーの育成を進めている中での今回の割り当ては審判界にとって明るいニュースになった。
ただ佐藤氏は「審判員が難しいのはやり続けること」とも話し、「どう続けていくか。毎試合ああいった試合には遭遇できないと思うので、きっと上手くいかないこともある」と力を込める。椎野主審は今季のJ2担当試合で、ドイツの審判インストラクターから厳しい指摘もされながら刺激を受けて成長してきたという。JFA審判委として「期待はできると思いますし、期待してもらっていいと思います」と椎野主審への信頼を示しながら、引き続き厳しく向き合いつつトップレフェリーの養成に励む構えだ。
なお椎野主審はJ1デビューを前に、天皇杯のモンテディオ山形対浦和レッズも担当していた。チームからも「落ち着いてやっている」と評価されたという中で、報道陣からは後半28分にMF中村亮太朗の得点がハンドの反則で認められなかったシーンについての質問も上がった。
この試合ではVARが導入されていない中、山形DF岡本一真のシュートに反応した中村がコースを変えて得点。ただ少しの間をおいて椎野主審が笛を吹き、ハンドでノーゴールと判定した。一部からは浦和の抗議を受けて判定を変更した可能性が指摘されていたが、佐藤氏は否定。以下のように説明した。
「あの試合はVARがない。ただコミュニケーションシステムがあり、(審判員が)4人いるので判定を変えることは決して間違っているわけではない。もちろんそこにはチームが同じようなタイミングで(ハンドをアピールする)リアクションをしているので、ひょっとするとそういう受け取られ方をすることはあるかなと。そこは気をつけなければいけないと思いつつも、現場は現場でそのシーンで集中してコミュニケーションを取っている。あのシーンでいえば副審もですし4thオフィシャル(第4審)もというコミュニケーションの中で、最終的にレフェリーがそういうふうに(ハンドと)判断したことは十分受け入れられる。現場で一発で答えを出すのが一番の皆さんの期待だとは分かりつつも、(主審からは)すべては見えない。特にVARがないので余計慎重にコミュニケーションを取っていることで、ファイナルデシジョンをするまでに時間がかかったというのは理解してもらいたいなと思います」
(取材・文 加藤直岐)
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