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川崎Fは判定に泣く。稲本「おでこにたんこぶができてるのにGKチャージじゃないなんて」

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[9.25 J1第24節 川崎F1-2G大阪 等々力]

 川崎フロンターレは“大黒柱”の先発落ちと、2度の不運な判定に泣いて1-2敗戦。順位は6位のままだが、勝ち点を38から伸ばせずに首位・名古屋とは同13差で優勝戦線から脱落した。ACL出場圏内の3位・G大阪にも5差となった。

 MF中村憲剛が21日夜に38度を超える風邪を引き、体調を崩したためスタメンから外れた。中盤でのパス回しにおいて相手への“脅威度”が減った。憲剛は後半17分から途中出場し持ち味は発揮したが、決定的な仕事にはつながらなかった。憲剛は試合後、体調不十分のため、取材はなしで家族の車で帰宅した。

 前半12分にDF中澤聡太にヘディングシュートを決められて先制を許したが、この際、GK相澤貴志はヒジ打ちを食らい、右側頭部にピンポン球大ほどのコブを作った。相澤が「一瞬、記憶を失った」というほどの衝撃だった。しかし高山啓義主審はファウルとは判定しなかった。MF稲本潤一は「きょうのレフリーが平等だったかどうか、みなさん、どう思いますか? 結果は受け止めるけど、GKのおでこにたんこぶができてるのにGKチャージ(ファウル ※GKチャージという反則名は現在はない)じゃないなんて」と憤慨した。

 不運な判定はこれだけではなかった。後半41分にルーカスにミドルシュートを決められたが、その直前にも微妙な判定があった。このゴールはGK藤ヶ谷陽介のゴールキックから安田理大、遠藤保仁とつながり、生まれた一発だったが、ゴールキックの判定が微妙だった。このキックは、川崎FのFW矢島卓郎がG大阪ゴール前に突進し、ドリブルで競り合う中、映像で見た限りはG大阪選手に当たってゴールラインを割った。川崎F選手の誰もがCKを獲得したと思った。

 しかし……。審判に抗議するなどバタバタで、気持ちが整いきらないままでリスタートされ、失点につながった。高畠勉監督は「そこのところで切り替えが遅れたかなと言うところはありました」と嘆いた。稲本も「完全にCKだった」と憤った。集中を欠いた選手も悪いといえるが、こういう大一番になると、より安定したレフリングも求められるのは確かだ。

 「結果は結果でしょうがない。よりどころがレフリーというのも良くないと思う。リーグ全体で審判のレベルを上げるのか、個人個人がレベルを上げないといけないのか……。たしかにこれまで(のシーズンを振り返ると)、自分たちに有利になる判定もあったけど、安定したレフリングというのは必要だと思う」

 イングランドやトルコ、ドイツやフランスと欧州でのプレー経験が豊富な稲本は、あえて審判へ苦言を呈した。この日、稲本にとっては古巣との初対戦だった。チームは変わって在籍当時の選手、スタッフは激減しているが、古巣との一戦にいつも以上に燃えていた。それだけに、ジャッジがもう少しよければ……の思いが募った。

 とはいえ、もうこの黒星は覆らない。「多少、上からは離されたけど、まだ試合がある。それにACL出場権も狙わないといけない。次の試合に切り替えてやりたい。次は水曜にナビスコ杯がある。あと3つ勝てば取れる、一番近いタイトルなんで、しっかりと勝ちたい。」と稲本。29日にはナビスコ杯準決勝第1戦の磐田戦(アウェー)がある。リーグ戦優勝は絶望的になったが、昨年、あと一歩のところで逃したナビスコ杯は、絶対に獲る。

<写真>疑惑のゴールに抗議する川崎Fの選手たち
(取材・文 近藤安弘)

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