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“勝利の方程式”が裏目に…鹿島は10人相手に2点リード守れず

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[6.25 J1第18節 鹿島2-2川崎F カシマ]

 試合後はゴール裏のサポーターから激しいブーイングが飛び交った。“勝利の方程式”のはずだった。鹿島アントラーズは10人相手に2点リードを守り切れず、悔やまれる引き分けに終わった。

 前半31分にFW田代有三の3戦連発となるゴールで先制。前半ロスタイムにはFKのこぼれ球をDF中田浩二が豪快な左足ボレーで蹴り込み、2-0で前半を折り返した。後半14分には川崎FのDF薗田淳が退場。数的優位に立った鹿島は同18分、MF野沢拓也の右CKに合わせた中田のヘディングシュートがクロスバーを叩くなど、このままワンサイドゲームになるかと思われた。

 ところが、後半25分に一瞬の隙を突かれ、1点を返されると、突如、選手たちが浮き足立った。同27分、田代とMF遠藤康に代わってMF本山雅志、MF小笠原満男がピッチに入る。ベテランを投入し、ゲームを落ち着かせる。鹿島らしく逃げ切る目論見だった。

 後半36分にベンチへ下がったMF増田誓志は「(小笠原)満男さん、青木さんがベンチにいるので、自分の中では残り20分、15分で1点でも勝っていれば僕の仕事はできたと言えるのかなと試合前は思っていた。経験のある選手なので、勝てる方程式だと考えていた」と言う。しかし、試合は猛反撃に出る川崎Fの前に11人の鹿島が防戦一方となった。

 5連戦の影響か、前半から飛ばしていた選手たちの足が止まり出し、代わって入った小笠原もミスを連発。トップ下に入った本山にもいい形でボールが入らず、面白いように川崎Fにパスをつながれ、攻め込まれた。

「10人の相手が敵陣内でどんどんパスを回すシーンなんてサッカーでは考えられない」。DF岩政大樹は憮然とした表情で言った。「やり方自体は変わってないけど、(増田)誓志もいなくなって、バイタルを使われてというよりその前の段階というか、ボランチというより全体の問題」と、チームとして反省したが、交代選手がその役割を果たせなかったのも事実だ。

 後半44分にゴールネットを揺らされたシーンはオフサイドの判定で救われたが、川崎Fの勢いを止めることはできず、後半ロスタイムに2失点目。勝利を目前にしながら10人相手に勝ち点3を落とした。

 メンバーを入れ替えながら5連戦を戦い、ここまで2試合連続の無失点で連勝してきていたが、5試合ぶりの2失点で連勝もストップ。増田は「勝っても切り替えてきていたし、残念な終わり方だったけど、次に向けてもう落とせない気持ちでやっていくしかない」と話し、田代は「もう一度ここで気を引き締めないといけない。すんなり勝っていたら甘さが出たかもしれないし、最後まで集中しないとこうなる。シーズン終盤でこういうことが起きるより、今日起きて、いい教訓になったと思うしかない」と、自分に言い聞かせるように話していた。

[写真]1-2の後半27分、MF小笠原満男(左)とMF本山雅志が同時投入されたが、流れを変えられず

(取材・文 西山紘平)

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