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“首位キープ弾”を決めた兵藤「今年の目標は優勝とスタジアムを満員にすること」

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[7.23 J1第6節 横浜FM1-0神戸 日産ス]

 決定機を作り続けても、ゴールを奪えない。そんなジレンマをこの男が突き破った。横浜F・マリノスの背番号「7」、MF兵藤慎剛だ。後半18分、左サイドからDF波戸康広がクロスを入れ、MF谷口博之がヘディングで落とした。これに兵藤が反転から左足を振り抜き、ゴールネット左上に突き刺した。これが首位キープを決める決勝ゴールとなった。

「ゴールに近くて、DFの位置も分かっていた。狙ったところにいってくれた。ここ2、3試合は内容がよくなかったけど、今日は少し内容が良くなって、無失点で勝てたのが嬉しいです」

 お立ち台で兵藤が声を弾ませた。前半から横浜FMはDFの背後のスペースやサイドの開いたスペースをうまく使う形で攻撃を仕掛け、主導権を握った。再三の決定機を作り、前半だけでFW渡邉千真がシュート5本、FW大黒将志が同2本など計10本を放った。しかし、先制点が奪えない。そんな嫌な流れの中、兵藤が豊富な運動量を生かして前線に絡みゴールを決めた。

 リーグ戦6試合ぶりの今季4得点目は首位キープにつなげる決勝弾となったが、木村和司監督の期待に、ようやく応えた形となった。「兵藤には常にシュートせい、と言っている。シュートは少ないけど、打てば入る。だから、もっと打たんかい!と」と会見で指揮官が明かしたが、背番号「7」はそんなゲキを意識してプレーしていた。

 神戸戦は今季リーグ戦18試合目で、いわば後半戦の最初の試合となったが、4得点は7得点の渡邉に次いでチーム2位タイの数字。昨季はリーグ戦6得点だったが、それを上回るペースとなっている。得点だけでなく、ここまでリーグ戦全18試合にフル出場もしており、兵藤の貢献度はかなり高い。

 この日の白星で、最近7試合を6勝1分の負けなしと好調を維持する横浜FM。だが、選手たちは一様に「内容はまだまだ」と満足していない。ファンからしてみれば、そういう中での首位キープは、今後、さらにチーム力が上がり、首位に定着し続けるのではないかと期待してしまう。そんな中、兵藤の口から頼もしい言葉が飛び出した。

「今年の目標は優勝と、このスタジアムを満員にすることです」と兵藤は高らかに宣言した。この日の観客は首位チームの試合でありながら、1万5402人と少なかったこともあり、勝利と人気の両方を目標に掲げた。FW陣がゴールを取れない日は、この運動量豊富な攻撃的MFがいる。2位の柏とは勝ち点37は同じで、わずかに得失点差2で首位にいるが、この混戦に自分たちから下りるつもりはない。これからも兵藤は、攻守両面でチームを支えるつもりだ。

(取材・文 近藤安弘)

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