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歴史的大勝の鹿島が信じる逆転V、田代「07年も残り10試合で勝ち点10差あった」

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[8.28 J1第24節 鹿島6-0福岡 カシマ]

 容赦なくゴールを狙い続けた。鹿島アントラーズが6年ぶりとなる1試合6発のゴールラッシュで最下位・福岡を一蹴。首位・G大阪とは依然勝ち点12差の5位だが、奇跡の逆転Vを信じるだけの“根拠”が鹿島にはある。

 故障明けで6試合ぶりに先発復帰したFW田代有三が「まだ足首は痛い」という強行出場で2得点。MF遠藤康も2得点を挙げ、MF野沢拓也は圧巻の4アシスト。FW大迫勇也を故障で欠く中、攻撃陣が爆発し、先制しながら追い付かれた前節・甲府戦(1-1)からの嫌な流れを断ち切った。2試合ぶりの勝ち点3で7試合負けなし(6勝1分)。真夏の連戦で、07~09年に史上初の3連覇を成し遂げた“元王者”が完全に息を吹き返した。

「チームとしていい状態で勝てたし、次につながる試合だったと思う。ホームでああやって点を取れるときに取って勝てばチーム自体盛り上がるし、サポーターも喜ぶ。勝ち点3を取れたこともよかったし、サポーターを喜ばせることもできた」

 先制点とダメ押しの6点目を決めた田代は胸を張る。これで今季リーグ戦は通算10得点。昨季、山形で記録した1シーズン最多得点記録に、10試合を残して早くも並んだ。「Jリーグで10点以上取ったことがないので」と自己記録更新に意気込む田代だが、目指すべきゴール数はもっと上だ。

「去年より点を取るのが今年の目標。去年、Jリーグでは10点だけど、公式戦で16点取っている。今年は11点。絶対あと5点以上取りたい」。昨季はナビスコ杯、天皇杯でも各3得点を挙げ、リーグ戦を含めた公式戦でトータル16得点。今季はACLで1得点を決めており、公式戦通算11得点。今季もナビスコ杯、天皇杯を残しているが、Jリーグだけで昨季の公式戦全ゴール数を超えるぐらいの決意でいる。

「今年はツイているゴール、押し込むだけのゴールが多い。今日の2点目もそうだし、前節(甲府戦)の(小笠原)満男さんのシュートのこぼれを押し込んだのもそう。もっともっといいところを出して、今日の1点目のようなゴールを決めて、もっと(得点数を)伸ばしていきたい。点を取ることは自分にもチームにもプラスになる」

 さらなるゴール量産を誓う田代の頭にあるのは、チームの逆転優勝だ。残り10試合で首位とは勝ち点12差。決して小さな差ではないが、可能性がないわけではない。「(優勝した)07年も、残り10試合で勝ち点10差あった。あきらめずにやれば、最後にいいことがあった。1試合1試合を大事に戦っていけば上にいける。一つひとつ頑張りたい」。前人未到の3連覇の始まりとなった07年。残り9試合で首位・浦和と勝ち点10差の4位から破竹の9連勝で締めくくり、歴史的な逆転Vを果たした。狙うは4年前の再現。この日の記録的な大勝劇が、その“呼び水”となるかもしれない。

(取材・文 西山紘平)

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