beacon

決勝ゴールのF東京・森重「ナオさんがどんなボールを蹴るか分かっていた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.8J1第5節 川崎F0-1F東京 等々力]

 試合終了間際の後半42分。FC東京にチャンスが訪れる。MF高橋秀人のシュートをGKが弾き、CKを獲得すると、DF森重真人は迷うことなく、相手のPA内に前線に上がっていった。後半開始早々にMF長谷川アーリアジャスールが退場し、数的不利の中で自陣に押し込まれる時間が続いた。その中で失点を許さずに得た、千載一遇のチャンス。自陣に残って守ることなど、微塵も考えなかった。

「CKは一人少ない状況が関係ない。チャンスだと思ったし、しっかり自分たちの攻撃だと認識していました」と振り返る。キッカーのMF石川直宏も、ターゲットを決めていた。「練習から(森重は)強いから、そこを狙っていました。一人少ない中で攻撃の形もなかなかつくれなかったから、ここで決めたかった」。森重も「ナオさんがどういうボールを蹴って来るか、昨年から続けてやっているから分かっていた」と言う。石川のCKを打点の高いヘッドで合わせ、価値あるゴールを叩き込んだ。

 ゴールを決めてからは看板を飛び越え、サポーターの下に駆け寄った。「飛んだからかっこいいかなと思って」と笑い、「サポーターは昨年J2でアウェーゲームも来てくれた。今年はJ1で戦えている喜びやゴールの喜びを分かち合いたかった」と話す。その後もDFジェシを前線に上げて攻めてくる川崎Fの猛攻をしのぎ切り、勝ち点3を手にした。

 苦しみながらもつかんだ勝利に、大きな手ごたえを口にする。「今年のFC東京を象徴している試合だと思う。選手、スタッフ、サポーター、みんなが一つになれたし、一つになることができればすごい力が出ることを、感じることができたと思う」と語る。

 試合後のロッカールームでは、こんな一幕もあったという。「みんなでアーリアくんに『(退場は)2回目だぞ』って言っていましたね。良い雰囲気でした」。ピッチ内外でまとまっているチームは、この勝利で3位を守った。「もう1回切り替えて、毎日の練習から準備をしていきたい」。この日の雰囲気を再び味わうために、新たなDFリーダーは笑顔で次の試合へ気持ちを切りかえた。

(取材・文 河合 拓)

TOP