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“同い年”、20回目のナビスコ杯で20歳の柴崎がMVPを受賞「縁を感じる」

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[11.3 ナビスコ杯決勝 清水1-2(延長)鹿島 国立]

 満員に膨れ上がったスタンドを沸かせる圧巻のパフォーマンスだった。20回目のナビスコ杯で20歳“同い年”のMF柴崎岳が2ゴールで鹿島アントラーズに16個目のタイトルをもたらした。前日の前夜祭では「特に」と語っていた“同い年”のナビスコ杯だが、試合後のインタビューでは「縁を感じる」と喜びを爆発させた。

 後半27分、場内は予想外のPKキッカーに少しざわつきをみせた。だが、PKを獲得した柴崎は、自信満々にPKスポットのボールをセットした。「試合前にジョルジ―ニョ監督から『PKがあったらお前が蹴れ』と言われていた」と言うとおり、誰もが信頼してのキッカー指名だった。「自分で取ったPKだったので、思い切り蹴れたのかなと思います」と自らも自信を持って蹴ったPKだったと強調する。

 延長に入ってからも「(高校時代より運動量は)自分でも増えたと思う」と語るとおりのスタミナで攻守に駆けまわった。迎えた延長前半3分、PKを貰った場面と同じような形でボールを受けると、今度はマークについていたDFカルフィン・ヨン・ア・ピンをワンタッチでかわした。「ヨン・ア・ピン選手が足元狙ってきているかなと思っていた。上手く抜け出せたのでよかった」。その後は落ち着いてゴールネットを揺らした。

 ルーキーイヤーの昨年も鹿島はナビスコ杯のタイトルを獲得した。昨年もフル出場でチームを優勝に導いているが、今年は自ら2ゴールをしての優勝となった。「自分の得点で勝ったとしても、味方の得点で勝ったとしても優勝という価値に変わりはない。僕にとってはあまり価値の変わらないものだと思います」と謙遜する柴崎だが、同時に鹿島というチームの伝統、強さを改めて実感させられた試合でもあった。

「良くない状態の試合展開が続いていても勝てるという鹿島らしさは出ていたと思う。他人事のようですが、すごいなと思います。最多のタイトルホルダーのチームとはいえ、歴史を作ってきたのは僕ではないですが、1つ1つ積み上げていきたいという欲はあります。小笠原選手や中田選手ら先輩たちに肩を並べたり、追い越したりするために1つ1つタイトルを取っていきたいなと思います」

 今年2月にはA代表にも初招集された。アルベルト・ザッケローニ監督も注目の逸材だが、「時期だったりというのは考えず、それ相応の実力がついてくれば自然と呼ばれるだろうし、ザッケローニ監督がそういった評価をするのであれば呼ばれると思います。試合数だったり、練習を重ねていけば自ずと呼ばれると思う」と日頃の鍛錬を強調する。

「このままアントラーズを引き継ぐというのではなく、先輩を超えたりという思いを全員が持っていかないと、僕らの成長につながらないと思う。経験豊かな先輩たちを見ながら、僕ら若手は積極性を出していきたい」

 柴崎はこれまでMF宇佐美貴史(ホッフェンハイム)らと同じプラチナ世代で10番を背負い、世代別代表でも活躍してきた。誰もが絶賛する才能。日本の将来を担う逸材が確実な成長を見せている。

(取材・文 児玉幸洋)

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