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愛弟子をイジりながら初タイトルを喜ぶG大阪 長谷川監督「新しい時代の始まり」

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[11.8 ナビスコ杯決勝 広島2-3G大阪 埼玉]

 現役時代にナビスコ杯を1度、天皇杯を2度制していたガンバ大阪長谷川健太監督だったが、指導者に転向してからは、あと一歩タイトルに届かなかった。清水時代はナビスコ杯で1度、天皇杯で2度、決勝まで勝ち進みながらも準優勝に終わっていた。

 4度目の決勝となった8日の広島戦も、前半のうちにFW佐藤寿人に2ゴールを決められる苦しい展開となる。長谷川監督は「なんなんですかね。0-2になったときは『持ってねーな』と思いました。『また岩下か』と思ってですね」と、先制点につながるハンドの反則をした愛弟子の名前を挙げて苦笑した。

 DF岩下敬輔は、長谷川監督が指揮を執っていた清水でもプレーし、2012年途中にG大阪へ期限付き移籍。長谷川監督とともに、3度の準優勝を経験していた。岩下は、この日の主審である西村雄一氏が笛を吹いた試合で、過去3度退場しており、試合前に長谷川監督は「岩下には言い聞かせましたので、どうかレッドカードだけは勘弁してください」と言いに行ったという。しかし、お願いの甲斐もなく、岩下は前半19分にPA内でハンドを取られて、PKを決められると、同35分にもクリアーミスから痛恨の追加点を招く。

「(西村主審に)お願いして試合に入ったのですが、早々にPKを取られて…。その後もテンパって、クリアーミスとかしてくれまして。0-2になったときは厳しいゲームだなと思いましたが、そこから遠藤、今野がしっかりチームをまとめてくれたのが大きかった」

 2点を先行されたG大阪だったが、前半38分にFWパトリックのゴールで1点を返すと、後半にも2ゴールを挙げて逆転する。終盤は岩下を中心とした最終ラインも踏ん張りを見せ、3-2で逆転勝利。長谷川監督は、初めて指揮官としてタイトルを獲得した。

 これまで数々のタイトルを獲得してきたG大阪は、長谷川監督の下で世代交代を進めている。「今回のメンバーで前回のナビスコ杯優勝経験者は、明神(智和)と遠藤(保仁)だけ。今野はF東京で優勝していますが、岩下は決勝で負けた」と、再び愛弟子をイジり、「ほとんど新しい世代の選手がピッチに立った。そういう選手たちが勝つことで、自信を付けて行くと思いますし、最高の形でこの大会を終えることができたのは、ガンバにとって大きな財産。ここからまた新しい時代の始まりと言っていいと思います」と、今後につながるタイトルに目を細めた。

(取材・文 河合拓)
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