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C大阪の“伝統”継ぐ加藤陸次樹、後半45分にあげた反撃の狼煙「20番に恥じないプレーをできた」

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FW加藤陸次樹が反撃のゴール

[8.10 ルヴァン杯準々決勝第2戦 川崎F 2-2 C大阪 等々力]

 まさしく反撃の狼煙となるゴールになった。セレッソ大阪は0-2で迎えた後半45分、FW加藤陸次樹の得点で勢いをつける。そして、後半アディショナルタイムにはFW山田寛人が2点目を挙げ、アウェーゴール差で準決勝進出が決定。加藤は「気持ちで、全員が走り切れた結果だと思います」と試合を振り返った。

 前半を0-1で折り返したC大阪はハーフタイムに加藤を投入。しかし、後半8分にも失点を喫し、0-2というビハインドを背負った。第1戦を1-1のドローで終えているため、追いつければアウェーゴール差でベスト4進出が決まる。だが1得点も遠く、焦りだけが増していく。

「正直、2得点という差をつけられた中で焦りがあり、プレーの余裕がなかった。シュートも無理やりな感じで狙い過ぎていた」

 直接狙うことが難しければ、チームの武器でゴールを狙う。今季の得点パターンでもあり、試合前にも入念に練習していたクロス攻撃。加藤は試合中のDF山中亮輔のクロスを確認しており、「一試合を通して山中選手のクロスがニアでクリアされる回数が多かった」と分析していた。

 その場所に自らを置けば、ゴールにつなげられる。時間は残りわずかの後半45分、山中が再びクロス。鋭い弾道はニアサイドに飛ぶと、事前に予測していた加藤が飛び込むように頭を投げ出す。「相手の前に入って、うまく合わせられた」。倒れ込みながら、ゴールのニアサイドに流し込み、1-2とようやく点差を縮めてみせた。

 流れは一気にC大阪へ。そして後半アディショナルタイム6分過ぎ、再びクロスから決定機。右サイドのMF中原輝のクロスをDF西尾隆矢が折り返し、山田がヘディングシュート。2-2で試合を終え、2試合合計3-3。後半45分の加藤のゴールから6分間で形勢逆転。アウェーゴール差で2年連続の準決勝進出が決まった。

「足を攣っている選手もいましたし、きつい中だったんですけど、あと1点取れれば次に進めるっていう共通認識があった。気持ちで、全員が走り切れた結果だと思います」

 中央大を2020年に卒業後、ツエーゲン金沢でプロデビュー。初年度はJ2リーグで13得点を挙げ、21シーズンからC大阪に加入した。J1初挑戦のシーズンは29番を着け、リーグ戦で7得点をマーク。そして今シーズンからは20番を背負う。エースナンバー“8”と並び、伝統の背番号。西澤明訓氏、そしてこの試合で指揮を執った高橋大輔コーチを始め、杉本健勇や玉田圭司、昨シーズンで引退した大久保嘉人氏などが着用してきたものだ。

 大久保氏から引き継いだその背番号はプレッシャーにもなっていた。しかしこの試合での1得点は、加藤にとっても自信につながったようだ。「セレッソの伝統ある背番号を背負わせてもらって、今年チームを助けられるゴールがなかなかなかった。チームに貢献できるゴールを決められたというのは、20番に恥じないプレーをできたんじゃないかなと思います」。

 重圧となっていた“20”の数字が、今度は背中を後押ししてくれる。「チームの得点王はもちろんですけど、Jリーグ全体の得点王を狙っている中でまだまだ足りない。だけど、試合がすべてというより、日々の練習からも自分の価値を、20番を背負っている価値というのを出していきたいと思っている。結果はもちろん、残りのシーズン出していきたいと思いますけど、日々の練習から気を引き締めてやっていきたい」。

 昨シーズンは決勝で悔しい思いをしたルヴァン杯。9月の準決勝では浦和レッズと対戦する。「自分の得点で勝てれば最高ですし、とにかくチームに貢献できるように」。ストライカーの系譜を受け継ぎ、雪辱のタイトルを目指す。

(取材・文 石川祐介)
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