beacon

チームを救うビッグセーブ!浦和初先発の28歳GK牲川歩見が勝ち点1に貢献

このエントリーをはてなブックマークに追加

GK牲川歩見

[3.26 ルヴァン杯GL第2節 浦和1-1清水 浦和駒場]

 浦和レッズのマチェイ・スコルジャ監督が2日前の囲み取材で“予告”していたとおり、GK牲川歩見が加入2年目にして浦和での初の公式戦先発を果たした。昨年4月のACL山東泰山戦で大量リードを奪ったあとに途中出場したが、浦和の公式戦では先発もフル出場も初めてだ。

「先発は(2日前の)記事で知った。いつも通りやろうと意識してやった。サポーターの応援も受けて集中してやれた。緊張はしたけど、落ち着いてやれた」。飄々とした口調の中に安堵感と充実感をのぞかせた。

 立ち上がりからしばらくは浦和が一方的に押し込む時間帯が続き、ほとんどボールに関与しなかったが、一転して仕事が増えた後半は日頃の練習の成果を次々と見せた。

 最初の見せ場は後半26分にFWベンジャミン・コロリのミドルシュートで1-1に追いつかれた直後の後半29分。途中出場の清水FW北川航也の強烈なヘディングシュートに対し、「想定内のボールが来た」と、しっかり対応した。

 最大の見せ場は後半アディショナルタイム。DF明本考浩のパスが自陣で相手に奪われる大ピンチに見舞われたが、北川の強烈なシュートに対し、伸ばした足で弾いてコースを変えた。

「不用意に奪われたので相手は余裕があったと思うけど、練習でやっている“自分でポジションを意図的に少しずらす”というところをした。そこにボールを誘い込むことはできなかったけど、最終的に身体に当たってくれた」

 牲川のこのビッグセーブがなければ敗戦も覚悟するような時間帯だった。浦和に加入して1年3か月。GK陣は元日本代表のGK西川周作が守護神として君臨し、東京五輪代表のGK鈴木彩艶もいる。ポジション争いは非常に激しいが、その中で牲川はやりがいを感じている。

「練習から日本代表クラスの選手とできているのが僕にとっては刺激だし、練習からレベルの高いプレーを見ていて参考になる。良い環境でやれているからこそ、実戦で落ち着いてできるようになっていると思う」

 ジョアン・ミレッGKコーチの存在も大きい。ミレッコーチは今季加入の吉田舜も含め、4人のGK陣全員に対して平等に指導をする。牲川は「この1年で、ジョアンが提示してくれる理論でやれることが増えた。それを実感しながらやれているので、緊張感のあるなかでも落ち着いてできた」と成長の手応えを語る。

 清水戦ではビルドアップでもしっかりと足下の技術を示した牲川。追いつかれての引き分けは悔しいが、チーム内の健全な競争や全体の底上げを感じさせる90分だった。

(取材・文 矢内由美子)

TOP