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就任5年で歴代最多6冠目、オリヴェイラ監督がJリーグにまさかの提案?

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[10.29 ナビスコ杯決勝 浦和0-1(延長)鹿島 国立]

 まさに優勝請負人だ。07年の就任から5年連続でタイトルを獲得した鹿島アントラーズオリヴェイラ監督。自身初のナビスコ杯制覇で就任から6冠(Jリーグ3回:07、08、09年/天皇杯2回:07、10年度/ナビスコ杯:11年)を達成し、J監督歴代最多のタイトル獲得という偉業を成し遂げた。

「まず選手たちにおめでとうと言いたい」。自らの言葉で会見をスタートさせた指揮官は「シーズン中にいろいろなことが起き、期待通りの結果が出ない中でも、やるべきことをやってきた。ストレスもあったはずだが、タイトルを獲ることができたのは彼らが規律を守って取り組んでくれたおかげだと思う」と、選手たちを手放しで称賛した。

 3月11日に起きた東日本大震災で被災したチームは一時、活動中止や本拠地の代替開催などを強いられた。苦難の連続だったシーズンでACLはベスト16で敗退し、Jリーグ制覇の可能性も消滅したが、準々決勝から参戦したナビスコ杯は3試合連続の延長戦勝利という類まれな勝負強さを発揮し、栄冠に輝いた。

 横浜FMとの準々決勝では2点ビハインドを跳ね返し、FW興梠慎三、FW大迫勇也、FW田代有三というFW3人のゴールで延長戦の末、逆転勝利を飾った。準決勝では昨季リーグ王者の名古屋と激突。今度は先制しながら終盤に追い付かれる展開で再び延長戦に突入し、延長後半2分、新人MF柴崎岳の劇的ゴールで競り勝った。そして、この日もみたび延長戦の激闘。互いに退場者を出す10人対10人の総力戦を制し、頂点に立った。

「この3試合で、120分間の戦いを制することができるチームだということを見せられたと思う」。そう胸を張るオリヴェイラ監督は「Jリーグにリーグ戦を120分の試合にできないか提案したい」と冗談めかして言った。「今年は90分で多くのチャンスをつくりながら引き分けてしまう試合が多かったが、120分だったら決着を付けられることが分かったので、皆さんからも『来季から120分はどうですか?』と提案してもらいたい」。めずらしくジョークが飛び出すほど、今回の優勝には特別な意味があった。

「私だけでなく、日本国民全員が忘れられない3・11の影響があった。忘れようとは思わないが、何か形を出せるように取り組んできた。被災された方々が『忘れよう』という気持ちではなく、『前に進まなければならない』という気持ちで取り組んでいる姿を見て、我々も前に進まなくてはいけないと思った」

 さまざまな逆境を乗り越え、たどり着いた頂点。「いい形で成果を出せたこと、自分が獲れていなかったタイトルを獲れたことは非常にうれしく思う」。自身5年連続6つ目のタイトルに万感の思いを募らせていた。

(取材・文 西山紘平)

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