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[クラブユース選手権U-15]一進一退の攻防戦制した鳥栖U-15、夏の日本一に輝く!

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サガン鳥栖U-15が2年ぶり2度目の優勝

[8.24 日本クラブユース選手権(U-15)決勝 鳥栖U-15 1-0 C大阪U-15 幕別町運動公園陸上競技場]

 24日、第34回日本クラブユース選手権(U-15)大会の決勝戦が北海道幕別町で開催された。前々年度の王者であるサガン鳥栖U-15と前年度準優勝のセレッソ大阪U-15が激突した一戦は、一進一退の攻防戦の末に鳥栖が1点を先行してそのまま逃げ切りに成功。2年ぶり2度目の優勝となり、進境著しいクラブの育成部門にまた一つ新たな勲章を加えることとなった。

 序盤からC大阪がややペースを握る展開となった。最前線からディフェンスラインと中盤の間に生じるスペースへタイミング良く顔を出すMF北野颯太が起点となり、チャンスを創出。鳥栖ゴールを脅かす場面を複数回作っていく。ただ、C大阪・田島一樹監督は良い流れに見えた前半についても「動きに重さがあって、『あまり良くないな』と感じていた」と振り返る。連戦の疲労に加えて前日の準決勝から10℃以上上がっていた気温が自慢の運動量を押し下げ、切り替えのスピードを遅らせていたからだ。

 後半に入って鳥栖・森惠佑監督が前線からのプレッシングのやり方を修正し、相手CBからのパス供給を遮断するようになると、徐々に試合の流れも変わっていく。それでもC大阪がボールを握る時間は長く、「このまま揺さぶっていけば大丈夫」(田島監督)という見立てだったが、結果としては「余裕を持ちすぎていた」(同監督)。19分、C大阪最終ラインからのパスミスを鳥栖は見逃さなかった。

 MF堺屋佳介からMF北野真平を経由したパスを受けた右ウイングのFW浦十藏が、飛び出してきたGKをしっかり観た浮き球のシュートを華麗にゴールネットへ。ファイナルの大舞台で貴重な先制ゴールを奪い取ってみせた。

 ここからはC大阪も猛反撃を開始するが、鳥栖も「大会が始まるまではチームがバラバラだった」(MF福井太智)という言葉が信じられないほどの一丸の守りを披露。ベンチも大会のMVPを受賞することになるMF鬼木健太を「スピードに対応できて、振り切られない」(森監督)ことを買って左SBに下げるなど万全の逃げ切り策を敢行し、スコアは1-0から動かぬまま試合終了。鳥栖が2年ぶりに夏のタイトルを奪還してみせた。

 勝った鳥栖の森監督は選手の頑張りを讃えた上で「チームプレーの中でしっかり個を伸ばすことにアプローチし、選手の特長を引き出すことを考えてきました」と胸を張る。また「今年4月にイタリアへ遠征させてもらいましたし、アカデミーにしっかり投資してくれたおかげです」とクラブ側からの手厚いバックアップにも感謝することも忘れなかった。

 一方、敗れたC大阪の田島監督は「こういう場に立てたことで経験できたことがたくさんあるし、この大会を通じて新たに活躍する選手が出て来てくれた」と前向きに評価。失点に繋がったミスについても「前向きにトライしていた結果」とネガティブには捉えず、選手には引き続きミスを恐れずチャレンジを促したい考えを強調した。その上で「ここからが大事」と、悔しさを噛みしめた選手たちのさらなる成長にもあらためて期待を寄せた。

(取材・文 川端暁彦)
●第34回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会

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