beacon

原口元気世代以来の日本一を狙う江南南が2年ぶり9回目の全国大会へ:U-12選手権

このエントリーをはてなブックマークに追加

2年ぶりの全国大会出場を決めた江南南サッカー少年団

[11.22 全日本U-12選手権大会埼玉県大会決勝 江南南サッカー少年団 2-0 新座片山サッカー少年団]

 小学生年代の日本一を決める「JFA 第44回全日本U-12サッカー選手権大会」の埼玉県大会が22日に最終日を迎え、決勝戦は江南南サッカー少年団が2-0で新座片山サッカー少年団を破り、2年ぶり9回目の全国大会出場を決めた。

 前半は、新座片山が優勢だった。長身の大徳剛矢君(6年)のロングシュートがクロスバーをたたくなど、身体のサイズとスピード、パワーを存分に生かした迫力のある攻撃が続き、江南南は、思うように反撃ができなかった。しかし、後半に入るとすぐに吉野啓太君(6年)が切れ味のあるドリブルからポスト直撃のシュートを放って応戦。ハイボールを使って押し込む新座片山と、ドリブルで押し返す江南南という展開となった。

 ゲームの均衡を破ったのは、江南南で低学年からずっと1学年上に混じってプレーしている村知空翔君(5年生)だった。両チーム無得点で迎えた後半6分、味方のシュートのこぼれ球に前線で反応すると、挟み込んできた相手2人の間をドリブルで抜いてスライディングシュートを決め、値千金の先制点を挙げた。「周りが見えていて、ボールを見なくてもプレーができて格好良い」と元ブラジル代表MFロナウジーニョに憧れる村知君は「得点の場面は狭かったけど、迷わなかった。自信はありました。自分のゴールでチームが勝って嬉しいです」と喜んだ。

 江南南は、後半11分に追加点を獲得。高速ドリブルが持ち味の吉野君のクロスを中村蓮君(6年)がシュートを放ち、こぼれ球を新井大翔君(6年)が押し込んだ。苦しかった前半を耐えて、後半に試合のペースを奪って先制し、追加点で突き放す見事な勝利。最終ラインから周囲への指示を絶やさず、自身は相手の長身FWとのマッチアップでも落ち着いて対応していた江南南の主将・箱田航大君(6年)は「大きい選手のマークでは、ボールが離れた瞬間を狙いました。競るときは(無理はせずに一度は相手に)収めさせて、前を向こうとするところを狙っていました。今までやってきたことを全部出して、勝てて良かったです。全員で得意のドリブルや声出しができた。前半はクリアばかりになったけど、後半はマイボールにして落ち着いてプレーできました」と手ごたえを語った。

 埼玉県は、全国でも指折りの激戦区。準優勝となった新座片山は、1996年と2012年に全国制覇を果たしており、新座片山に準決勝で敗れたレジスタFCも2015年に日本一を達成している。ベンチから陣頭指揮を執った江南南の飯塚正規コーチは「何十年と戦ってきているライバル。分かっていても苦戦する。さすが新座片山と感じました。ただ、相手のリズムに巻き込まれましたが、後半は徐々にパスをサイドにつないでドリブルができるようになって得点が生まれた」と強豪との激闘でも落ち着いて力を発揮した選手を称えた。

 江南南は、古くから育成と戦績の両面で実績を挙げている。これまでに多くのプロ選手を輩出。日本代表MF原口元気(現ハノーファー)を擁した2003年には、この大会で日本一に輝いている(※当時の名称は全日本少年サッカー大会)。先制点を決めた村知君は「自分が活躍して、いっぱいゴールを取って、どこのチームにも負けないで優勝したい」と話し、主将の箱田君も「目標は、全国制覇」と力強く宣言した。2点目を決めた新井君と、長身でセットプレー時に投入された坂元慶人君(6年)は、負傷離脱から戻ってきたばかりで、出場時間を軽減した中での起用。復調が期待される2人を加えた競争でさらにチーム力を高めて挑む次のステージの目標は、原口世代以来となる日本一。偉大な先輩の背中を追いかける。

(取材・文 平野貴也)

TOP