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[Jユースカップ]「日本で一番熱い」応援と指揮官の檄を背に後半逆転!湘南ユースが16強入り!

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[10.18 Jユースカップ2回戦 湘南ユース 2-1 栃木ユース 馬入]

 冬の高校年代クラブチーム日本一を決するJユースカップ 第23回Jリーグユース選手権大会。10月18、19日には全国各地で2回戦が行われ、ベスト16が出そろった。神奈川県平塚市の馬入ふれあい公園サッカー場では、湘南ベルマーレユース(神奈川)と栃木SCユースの一戦が行われ、湘南が2-1と逆転勝利。16強進出を果たした。

「本当にベルマーレの父母の方々の応援は日本で一番熱い」

 激戦を終えた湘南・時崎悠監督はそんな言葉を起点に試合を振り返った。あえてそんな語りだしにしたのは、熱い応援を受けた選手たちの動きに大いに疑問を感じたからだ。

「先週(の1回戦)もそうでしたし、今日もそうだったのだけれど、観に来る人が多かったり、プレッシャーのかかる試合になると、本来できるはずのプレーができなくなってしまう。僕の持って行き方にも問題があるのだと思いますが、『チャンスが来たときに緊張して何もできなかった』なんて選手にはなってほしくないんです」

 強い期待と熱い思いを背負って戦うのがプロフェッショナルの世界。その世界で長く生きてきた時崎監督からすると、応援のボルテージが上がるのに合わせて、プレーの強度がむしろ下がってしまった選手たちの様子が歯がゆかったのだ。

 立ち上がりから主導権を握っていたのは湘南だった。U-17日本代表MF齊藤未月、スキルとガッツを兼ね備えるFW新井泰貴といった好選手が中心になってゲームを支配。「栃木は引いてカウンターを狙ってくると思っていたし、実際にそのとおりだった」相手を押し込んでいく。

 もっとも、その攻撃には今ひとつ迫力が出て来ない。原因は「前にボールを入れていく、相手に対して立ち向かっていく姿勢が乏しかった」(時崎監督)こと。言うなれば、 “ベルマーレらしさ”を欠いた前半だった。こうなると、落とし穴が待っているもの。42分、栃木MF手塚貴大のFKからMF明本考浩に痛恨の先制点を決められてしまい、0-1のビハインドでハーフタイムを迎えることとなった。

「前半はいい形ができていなかったし、全体にタッチ数も多すぎた。時さん(時崎監督)からはハーフタイムに『もっとアグレッシブにやれよ』と言われて目が覚めて、後半は全員が本当に球際から戦って、全員で仕掛けていくサッカーができた」(齊藤)

 ネジを巻いた湘南イレブンが仕掛けたのは後半立ち上がりの1分、MF佐々木大樹とのパス交換から中央を突破した1年生FW和田響稀がいきなり同点ゴールを叩き込む。栃木イレブンに心理的ショックを生むような早々の同点劇で、試合の天秤は湘南へと傾いた。栃木もアグレッシブなプレーを見せる明本を中心に反撃を図ったが、持ち前の激しい守備が戻って来た湘南の守りを破るには至らず。14分に湘南のゲームキャプテンでもあるU-16日本代表DF石原広教が負傷退場するアクシデントもあったが、「全員でカバーできた」と齊藤が胸を張ったように、相手が攻勢に出た時間帯もしっかりと耐え切った。

 そして迎えた44分。「延長よりも決着をつけにいっていた」(時崎監督)強気の用兵が実を結ぶ。交代出場のMF北村椋太のパスを受けたMF露口凱が左サイドを破って中央へつなげると、待っていたのはやはり交代出場の1年生FW井上恵武。無心で打ったという左足シュートがゴールネットを揺らし、2-1と逆転。湘南がそのまま逃げ切り、3回戦進出を決めた。

 次なる相手は、強敵・神戸U-18。「このメンバーでやれるゲームを少しでも増やし、レベルの高いチームとより多くやる」(時崎監督)というシンプルな目標を掲げて臨んだチームにとって願ってもない相手となる。2年生の齊藤は「試合に出られていない3年生もいる中で、僕たちが出ている。そのことを感じながら、感謝しながら戦って、そして優勝したいと思います」と、静かに、ただし力強く必勝を誓った。

(取材・文 川端暁彦)
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