beacon

[MOM1912]水戸ユースMF瀧田隆希(3年)_魂込めたビッグプレー。ミラクルショットで東京Vを沈める

このエントリーをはてなブックマークに追加

水戸ホーリーホックユースMF瀧田隆希はミラクルショットで先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.10 Jユースカップ1回戦 東京Vユース 0-2 水戸ユース ヴェルディグラウンド]

 水戸ホーリーホックユース樹森大介監督は練り上げた守備のプランに一定の自信は持っていた。プリンスリーグ関東での浦和レッズユースの戦いぶりを参考にしながら、練習で落とし込んだ防御策である。昨年のJユースカップでは2年生主体のチームで戦って三菱養和SCユースを破っており、その“経験値”もある。ただ、力の差がないと思っていたわけではない。分析しての結論は「GKのビッグセーブか、すごいシュートが出ないと勝てない。普段からの“プラスアルファ”を出せるかどうか」(樹森監督)。それを率直に選手にも伝えていた。

 その話を聞いた3年生のMF瀧田隆希は「じゃあ、自分が絶対に決めてやる」と素直に受け止めたそうである。求められた「ビッグプレー」をどこかで出してやろうと虎視眈々、狙って試合に入っていった。

 最初の好機は前半にあった。FW中川洋介がファウルをもらって獲得したFKのチャンス。ゴール右寄りの位置から瀧田が右足で狙う。「縦で落ちるボールを狙った」(瀧田)FKはずっと練習してきたもので、トレーニングでは「いいシュートを打っていた」(中川)。だが、力みすぎたのか、このときのキックは遥か上空へ舞い上がり、明後日の方向へ。「『あれはない』と思った」(DF金塚海)と味方もずっこける、ノーチャンスシュートになってしまった。

 もっとも、そこでめげるような選手でもない。セカンドチャンスでも、一切のためらいは見せなかった。後半14分、東京Vの守備が中央に寄った状態から瀧田のいる右サイドへMF金井亮太からのパスが通る。金井のイメージは「リターンをもらおうと思っていた」というものだったが、受けた瀧田は「シュートしか考えていなかった」。角度もあまりなく、ゴールへの距離も遠い。無鉄砲にシュートモーションへ入った瀧田を観て、後方にいた金塚は「『そこ、打たないで!』と思った」と笑うが、絶妙の当たり方をしたボールは本人も「狙ったわけではない」弾道を描いて、東京VのGK村田怜穏のニアサイドを強襲。ミラクルを狙った二度目のチャレンジは見事に結実し、貴重な先制点が生まれた。

 結局、この1点が決勝点となり、水戸は快勝。中川が「サイドの選手が本当によく走ってくれた」と振り返ったように、瀧田は決勝点以外に守備面でも奮闘。高い位置に張り出してくる相手のサイドバックをケアしつつ、運動量豊富に最後まで戦い抜いた。攻撃陣で唯一交代しなかったのは、指揮官から守備を最後までやり切れる選手と信頼されていたからだろう。

「迷っている時期もあった」と言う瀧田だが、決勝点のシュートを観る限りはもうそんな思いも振り切れたのだろう。2回戦の相手はJユース屈指の強豪・広島ユースだが、「絶対に勝ちます!」という宣言は何とも力強かった。

(取材・文 川端暁彦)
▼関連リンク
2016Jユースカップ特集ページ

TOP