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[国体少年男子]注目FW欠場も力に変えて3戦12発!大阪府が初V王手!!

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[10.2 国体少年男子準決勝 大阪府5-1福島県 味フィ西]

 2日、第68回国民体育大会「スポーツ祭東京2013」サッカー競技少年男子準決勝が行われ、ともに初優勝を目指す大阪府と福島県との戦いは大阪が5-1で快勝。大阪は3日、3年ぶりとなる決勝で東京都と対戦する。

 3戦12発。大阪が破壊力を発揮して堂々の決勝進出だ。大阪は今大会、世代を代表する強力FW高木彰人(G大阪ユース)が太ももの肉離れによって欠場。ただ、坂元博晃監督(高槻北高)が「彼が直前で無理だという判断があった時点でチーム一丸になったというか。周りからは『凄く大きな痛手ちゃうか』と言われていましたけれど、ボクは大丈夫かなと。今回はホントに攻めどころを増やして、攻撃することができている。関西予選までは失点のない状態で来ていた。今大会は初戦から失点重ねましたけれど逆に取り返す力を示したし、失点は良くないことですけど、それでも盛り返す力があるチームだなと。(失点しても)慌てずにできる強みがある」と自信を見せる。また主将の左SB初瀬亮(G大阪ユース)は「(高木)彰人も悔しいと思うんですけど、『オレの分も頑張ってくれ』という彰人の思いもあるのでチーム一丸でまとまっていると思います」。注目FW不在の中、個に頼らず、コンビネーションで崩すことを目指してきたが、それが多彩な攻撃と得点増加につながっている。

 前半3分、その大阪が早くもスコアを動かした。初瀬の左クロスからGKの前に飛び込んだFW小田垣旋(G大阪ユース)が頭で合わせて先制点。その後も局面でのワンツーやSBの攻撃参加、ミドルシュートなど多彩な攻撃を見せる大阪は18分、右CKのクリアボールを胸でコントロールしたMF宮城和也(興國高)がミドルレンジから右足を振りぬく。これがゴール右ポストの内側を叩いてゴールヘ吸い込まれるファインゴール。大阪は28分にも抜け出した小田垣がGKとの1対1から左足シュートを決めて3-0と突き放した。

 主力2人がケガで不在の福島は前半シュートゼロに終わったものの後半2分、MF津田亘介(尚志高)が獲得したFKをMF中村駿介(尚志高)が左足でゴール右隅へ突き刺して1点を返す。さらに3分にはMF柳原隆二(尚志高)の右クロスをファーサイドのMF吉田直矢(JFAアカデミー福島)が決定的な形で合わせるなど反撃の色を強めていく。だが大阪は6分、敵陣中央で鮮やかにDFをかわしたMF市丸瑞希(G大阪ユース)がそのままPAまで持ち込んで左足シュートを叩きこむ。この一撃が勝負の行方を決定づけた。

 このあとはオープンな攻め合いとなり、大阪は決定的なシュートをGKオビ・パウエル(JFAアカデミー福島)に阻まれるなど追加点のチャンスを逸し続けていた。嫌な空気だったが、それでも32分に交代出場のMF牧野寛太(履正社高)がMF岩本和希(G大阪ユース)とのワンツーから右足シュートを決めて、決勝へつながる展開で試合を終えた。

 初優勝へ前進した大阪はムードの良さも備えている。3-0とリードしたハーフタイム、主将の初瀬は今大会唯一先発出場のない牧野の起用を坂元監督に進言。指揮官は「出れない悔しさって彼らの中で絶対にあるし、昨日のミーティングで話していたところでもあるんですけど、ハーフタイムに(初瀬)亮が『監督、出してやってください』と一言ボクのところで言って、ムードメーカーでもある彼が決めてくれたので正直嬉しかったですね。亮の一言があって、彼(牧野)が決めてくれて勢いが出たと思います」。選手たちのリクエストに応え、キャプテンマークに坂元監督が記した「絆」や「想」という文字。この日は後半10分に投入された牧野がゴールを決めただけでなく、初先発だった宮城も豪快なゴールを決めるなど出場した選手それぞれがチームのために役割を果たして勝利に貢献した。大阪は選手、スタッフ全員で戦い、白星を積み重ねてきている。

 昨年、G大阪ジュニアユース時代に史上初めて中学世代3冠を達成したG大阪ユースの選手たちがライバルのC大阪U-18や高体連の選手たちとともに戦い、強さを示している。頂点に立ってきた経験を持つ初瀬は「どっちも日本一になりたいという意地と意地とのぶつかり合いは難しい。自分たちは日本一なる難しさは一番知っていると思うので、そこはチームでしっかり分かってやってきた。『優勝するのみ』という目標をしっかりチームでできているのであすも勝って優勝したいと思います」。FW南野拓実(現C大阪)らを擁した3年前は決勝で東京都に惜敗。また今夏の第27回大阪招待ユース(U-16)サッカー大会2013で大阪は優勝したものの、東京にPK戦の末に敗れている“借り”もある。アウェーでリベンジを果たして初優勝――。大阪イレブンが東京で歴史を変える。

[写真]後半6分、大阪府は市丸が4点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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