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[国体少年男子]切り替えて臨んだ後半に連続得点、復権目指す静岡県が佐賀県との初戦突破

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[9.27 国体少年男子1回戦 佐賀県 0-2 静岡県 上富田スポーツセンター多目的グラウンド]

 第70回国民体育大会「2015紀の国わかやま国体」は27日、U-16世代で争う少年男子サッカー競技が開幕した。少年男子で最多となる優勝23回(選抜チームとしての優勝は20回)を誇る静岡県は佐賀県と対戦。2-0で勝ち、石川県と戦う2回戦へ進出した。

 FW鈴木魁人(清水ユース)は「ミーティングで過去の大会とか(映像を)見せてもらって、数々の名選手が優勝や準優勝を成し遂げている。最近はそれがなくなってきて、自分たちが取り戻さないといけないと思っている。静岡のサッカーをもう一度見せつけられるようにしていきたい」。昨年は初戦で大分県にPK戦で敗れて同県史上初となる2年連続の初戦敗退。かつて91年から4連覇、7年連続決勝進出などトップレベルに君臨し続けていたサッカー王国の復活を目指して戦う静岡がまずは初戦を突破した。

 佐賀はMF柳迫仁(龍谷高2年)が動きながらボールを捌き、俊敏性の高さを活かして突破を図るFW大坪蘭(鳥栖U-18、1年)や馬力のある動きを見せるMF井上元(鳥栖U-18、1年)が静岡の守りを破ろうとする。これをCB宮田和哉(JFAアカデミー福島U18、2年)中心に封じた静岡はMF山原怜音(JFAアカデミー福島U18、1年)やMF吉田峻(清水ユース、1年)がボールに多く絡んで動かすと、前線、2列目の4選手がテクニカルな崩し。28分には右サイドからのワンツーでPAへ割って入ったMF滝裕太(清水ユース、1年)が左足シュート。35分には左サイドを破ったMF白井海斗(清水桜が丘高1年)の折り返しを宮田が決定的な形で合わせる。だが、佐賀守備陣はシュートをブロックして得点を許さない。

 GK森景太(龍谷高1年)の好セーブや対人で強さを発揮する左SB藤松航矢(鳥栖U-18、1年)に突破を阻まれるなど無得点で前半を終えた静岡だが、清水商高時代に高校日本一に輝いている鈴木伸幸監督(桐陽高)が「力あるんで、彼らは。前半から切り替えて自分たちで『こうしよう』とすることができる。攻撃のグループの選手は誰が出てもいろいろな形がつくれるのが強み」というチームは後半開始からエースFW中野優太(清水ユース、2年)を投入。攻撃に変化を加えた静岡はチームのベースである前線からの積極的な守備が先制点をもたらす。

 6分、左サイドで鈴木がインターセプト。すかさずクロスを入れると、連動して走りだしていた中野が頭でニアサイドのゴールへ押し込んだ。畳み掛ける静岡はさらに8分、山原がポスト直撃の右足ミドルを撃ちこむと、11分に追加点を奪う。右サイドでボールを運んだFW曽根大和(藤枝東高1年)からのパスを右中間で受けた吉田が間髪入れずに左へボールを動かす。フリーで受けた鈴木が左足を振りぬくと、ボールはファーサイドのゴールネットへ突き刺さった。

 佐賀は31分、DFを巧みにブロックしながらMF森山真伍(鳥栖U-18、1年)のパスを受けた大坪が右足シュート。1点を目指して攻めたが、無得点のまま試合終了を迎えた。静岡のメンバーリストには鈴木や中野、山岡、宮田ら下級生ながら高円宮杯プレミアリーグで経験を積んだ選手や、所属チームで主力級として戦っている選手たちの名が並ぶ。鈴木監督は「所属しているチームのプライドがあるだろうし、そこを代表して出て来ている。戦っている主戦場はもっと上だぞというプライドがあれば必然的にゆとりが出てくる」。普段から公式戦の厳しい環境で経験を積んでいる彼らの経験がこの試合でも差をつくり出した。

 FW鈴木は「このメンバーでやるのは最後ですし、楽しむという気持ちが一番。楽しんで笑って帰りたい」。普段は和気あいあいとしているチームが自分たちで自主的にミーティングを行い、引き締めて臨んだ初戦。やや緊張感を高めすぎた部分は反省点だが、それでもスイッチを自ら入れて勝ち切った静岡が王国復権を目指して一つひとつ白星を重ねていく。

(取材・文 吉田太郎)
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