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[国体少年男子]V奪還へ前進!上手さ、逞しさ示した神奈川県が3冠メンバー中心の静岡県を撃沈!

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前半12分、神奈川県FW石井宏育が先制ゴール(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.3 国体少年男子準々決勝 神奈川県 2-0 静岡県 西条市ひうち陸上競技場]

 U-16年代の選手たちによって争われる第72回国民体育大会「愛顔つなぐえひめ国体」サッカー競技少年男子の部は3日、準々決勝が行われ、4強が決まった。2年ぶりの優勝を狙う神奈川県と最多20回優勝の静岡県との注目カードは神奈川県が2-0で快勝。神奈川県は4日の準決勝で大阪府と戦う。

「強豪相手にどれだけできるか、という中で神奈川らしさを出してくれた」。元湘南MFの平塚次郎監督(湘南)は、「上手い選手だけでなくて、逞しく行こう」ということを求めてきた選手たちが、前半から上手さを発揮しながら、苦しい時間帯も逞しく乗り越えたことを評価していた。昨年、清水ジュニアユースで中学年代3冠を達成した選手たち中心の静岡県を突破。大一番を制した神奈川県がV奪還へ一歩前進した。
 
 序盤の主導権争いから、先制点をきっかけに神奈川県が試合の流れを傾けた。12分、神奈川県は右サイドからのボールを受けたMF山本理仁(東京Vユース、1年)が無駄のない動きで左へサイドチェンジ。これを受けたMF柴田徹(湘南ユース、2年)が前方のスペースを突いたMF柴田壮介(湘南ユース、1年)へはたく。最後は、柴田壮のラストパスから相手CB間を突いたFW石井宏育(横浜FMユース、1年)が右足でゴールへ押し込んだ。

 先制した神奈川県がボールを支配する。重心がやや後ろ寄りになっていた印象の静岡県に対し、神奈川県は「自信を持って相手の状況を見ながら攻撃していた」(平塚監督)。狭いスペースへ追い込まれかけても正確なポジショニングとパスを連続して打開。また、左SB岩井龍翔司(横浜FMユース、1年)の鋭い攻撃参加などを交えて攻めた神奈川県だが、静岡県もゴール前では簡単にシュートを打たせない。神奈川県は攻めながらも、シュート数を増やすことができなかったことが後半に影響を及ぼしてしまう。

 後半、攻撃の圧力を強めた静岡県は、MF川本梨誉(清水ユース、1年)が左足ミドルを放ったほか、中央のスペースを狙ったFW植中朝日(JFAアカデミー福島U18、1年)へパスが通るシーンもあった。そして14分には左サイドから決定的な崩し。DFを引きつけながら、より身体の向きの良い選手へ連続でパスを繋ぎ、最後は右から飛び込んできたFW青島太一(清水ユース、1年)がフィニッシュ。だが、このシュートは神奈川県GK山田怜於(鎌倉高1年)が身体全体でコースを遮ってストップする。

 神奈川県主将の柴田徹は「耐えて耐えてという感じだったので。苦しい時間帯が続いていました。でも、後半流れが悪い時に失点しなかったことが大きかったと思うし、そこで追加点を西川が決められたこともチームにとって良かった」。静岡県はMF瀬畠義成(JFAアカデミー福島U18、2年)を中心にボールを動かし、青島がスペースでボールを引き出してチャンスメークしていたが、神奈川県はファーストディフェンスが相手のパスコースを良く限定していたことによってCB和田昂士(横浜FMユース、1年)やCB小林夏生(横浜FMユース、1年)らが狙いを定めてボールを奪い取る。

 そして、中盤中央の位置でインターセプトを連発していた山本のパスからチャンスを作り出した神奈川県は29分、山本が相手DFラインの背後へ飛び出したFW宮城天(川崎F U-18、1年)へ浮き球パスを通す。これを敵陣左中間の深い位置で受けた宮城が絶妙なターンでDFを剥がしてラストパス。逆サイドから飛び込んできたFW西川潤(桐光学園高1年)が1タッチでゴールへ流し込んで勝負の行方を決定づけた。

「神奈川は4種、3種のトレセン組織のいい環境が整っている」(平塚監督)という中で、強化されてきた神奈川県の個々のレベルは高い。今大会は関東ブロック予選で主将を努めていたFW斉藤光毅(横浜FCユース、1年)がU-17W杯出場のため、欠場。だが、その分も選手たちは戦う意気込みだ。キャプテンマークを受け継いだ柴田徹は「自分は去年も出て(3位で)悔しい思いをしているので絶対に優勝したいです。(斉藤)光毅の分の思いも背負って戦いたいし、このチームで優勝したいです」と誓った。次戦は4大会連続での対戦となる大阪府。昨年敗れた宿敵に雪辱して、頂点に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
●第72回国民体育大会「愛顔つなぐえひめ国体」特集

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