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負傷し、不安、悔しさの中で迎えた国体は最高の結末に。埼玉県GK久保主将「このチームで良かった」

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埼玉県の久保賢也主将は優勝GKに。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.4 国体少年男子決勝 埼玉県 1-0 石川県 テクノポート福井総合公園スタジアム]

 不安の中で迎えた国体。それは最高のエンディングが待っていた。埼玉県のGK久保賢也主将(大宮ユース、2年)は、2試合ぶりの先発出場となった決勝戦で無失点勝利。枠内シュートに対して確実に対応していた久保は、抜け出してきた相手MFにかわされるシーンがあったが、味方のカバーもあって優勝GKとなった。

「準決勝でジョーンズ(・レイ)が良いプレーをして、決勝が自分となった時に自分もいいプレーして優勝させようという気持ちになっていたので嬉しいです」。181cmと長身でシュート反応の良さを持ち味とするGKは、1-0の勝利を素直に喜んでいた。

 負傷によってGK練習を再開したのは、大会開幕5日前の9月25日。「本当、ギリギリまでサッカーができない状態で、それでも信じて自分を国体メンバーの選んでくれた(監督の)大野さんたちに感謝の気持ちがあった」という。実戦感覚が薄れていることもあって、1、2回戦の先発は後輩のGKジョーンズ・レイ(大宮ユース、1年)に譲ることになった。

「自分がキャプテンなのに、ピッチに立っていないというモヤモヤした気持ちが心の中にはあった」。主将、守護神としてチームに貢献できない悔しさがあった。それでも、チームメートたちが自分の出番を与えてくれた。2回戦で交代出場すると、準々決勝ではフル出場して勝利に貢献。準決勝では好調・ジョーンズがビッグセーブを連発し、再び久保にバトンを繋いでくれた。

「自分がまだ本調子ではなかった時にジョーンズがしっかりゴールを守ってくれた。本当にジョーンズも技術があって、自分とジョーンズどっちが出ても変わらないと思っていたし、任せられる選手。村上(陽介)も自分の代わりにキャプテンを務めてくれて、自分が戻る期間を作ってくれたので(先発復帰した際に)落ち着いてできました」。決勝の無失点は、久保からチームメートたちへの恩返しの「ゼロ」だった。

 久保は日本一に輝いた埼玉県選抜について「一体感があって、チームの一人ひとりが仲良くて、チーム全体でやることが明確で、勢いもあって、この大会を通して負ける気がしなかった。このチームで良かったなと思います」。諦めずに復帰を果たし、仲間たちと勝ち取った日本一。キャプテンマークを巻いたまま賞状を受け取った主将は、最高の笑顔で国体を終えた。

(取材・文 吉田太郎)
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