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[国体少年男子]“アピールチャンス”を生かせるか…神奈川県GK折原怜「人生を変えるつもりで挑んでいる」

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神奈川県GK折原怜(大和高=賢明学院中)

[10.3 国体少年男子2回戦 神奈川県 4-0 広島県 益子町運動公園陸上競技場]

 各地域のミニ国体を勝ち抜いたU-16年代の優秀な選手が集まる国体は、将来のJリーガーや日本代表をチェックしようとJのスカウトや協会関係者が足を運び、見本市のような意味合いを持っている。参加する選手の多くは、Jのアカデミーや全国大会常連校の選手ばかりだが、中には県大会で早期敗退するチームから選ばれる選手もいる。彼らにとっては、全国に向けて自分の存在をアピールする数少ないチャンスで、他の選手とは目の色が違う。

 2回戦の広島県戦で、神奈川県のゴールマウスを守ったGK折原怜(2年)は、大和高に所属する選手。「県のベスト32とか64に行けたら良いなというぐらい」(折原)の公立高校で、実際に夏のインターハイはベスト32で平塚学園に敗れている。彼にとっては高校で味わえる数少ない全国大会。「色んな人が見てくれるので、絶好のアピールのチャンス。本当に人生を変えるつもりで挑んでいます」と口にする。

 この日のプレーからは意気込みが感じられた。試合立ち上がりは広島県に押し込まれたが、早い時間帯で相手に退場者が出たため、前半8分にDF埜口怜乃(横浜F・マリノスユース=横浜F・マリノスジュニアユース)が先制点を奪ってからは一方的な展開に。後半の折り返し地点で4点差までリードは広がったが、後半は後がなくなった広島に攻められる場面が増えた。特にボールが収まり、個でも突破できるFW井上愛簾(サンフレッチェ広島ユース=東急SレイエスFC U-15)は厄介な相手だったため、折原はDFラインにチャレンジ&カバーを欠かさないようにコーチングを続けたという。シュートを打たれても、自信を見せるセービングで危ない場面をしっかり消し去った。

 GKとして頼もしい姿を見せる折原だが、大阪の賢明学院中時代はDFとしてプレー。だが、中2の夏に1学年下の代にGKがいなかったため、早生まれで出場資格のあった折原がリーグ戦にGKとして出場。そこでセービングの楽しさに気付き、GKに転向した。始めた当初はポジショニングが全く分からなかったというが、賢明学院高のGKコーチからイロハを教わり、スクスク成長していった。

 中学卒業後は親の転勤で神奈川へと移り、大和高に入学。これまで目立った経歴はなかったが、今年に入って国体チームが発足するに当たって、セレクションを実施。持ち味であるセービングをアピールした結果、メンバーに選ばれた。周りにいるのはJのアカデミーに所属する選手ばかりで、「自分が選ばれるとは思っていなかった」。ただ、国体の活動で高いレベルに交じってプレーする喜びを感じているという。「参加する度にレベルの高さを感じています。足元の技術もそうだし、ポジショニングがやっぱり良い。僕がボールを持った時や真ん中に当てる時も当てやすい。色んな所に顔を出してくれる。ポジショニングが良いから、やりやすさを感じています。付いて行くのも楽しくて仕方ない」。

「早生まれが1人なので、やりづらさがあるかもしれないけど、そういう所を見せないで、チームのことも率先してやってくれるので、とても良い先輩です」。MF白須健斗(横浜F・マリノスユース=横浜F・マリノスジュニアユース)の言葉通り、人間性も魅力十分。今大会のアピールによって、大学でサッカーを続けるチャンスを掴むのが目標だが、彼なら必ず掴めるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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