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[国体少年男子]「県の代表として恥ずかしい試合はできない」。強い責任感持って戦った新潟県が静岡県撃破!

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後半25分、3点目を決めた新潟県MF柳田夢輝(帝京長岡高、1年、14番)とCB渡辺陽翔(帝京長岡高、2年、左)がゴールを喜ぶ。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.3 国体少年男子2回戦 静岡県 2-3 新潟県 真岡市総合運動公園運動広場(人工芝)]

「彼らもテクニック持っているし、静岡もテクニックを持っているから、中盤の攻防に持ち込んで『テクニックのやり合いを見たいよ』と話していました」。前回大会優勝、最多21回の優勝を誇る静岡県と対戦した新潟県の原伸洋監督(長岡高)は、そう振り返る。

『テクニックのやり合い』については、「きょうはちょっと慌てていたんじゃないですかね。アタッキングサードに入ったところの動きはもっとできる。いつもの彼ららしさが明日は出せれば」(原監督)。サポート速くコンビでの崩しを見せた一方、静岡の上手さ、プレッシャーの前に普段通りのサッカーができた訳では無いという。

 それでも、全体をコンパクトにし、相手ボランチにボールを入れさせないという狙いの守備が効果を発揮。幾度も敵陣でインターセプトし、MF平澤諒珂(帝京長岡高、2年)とMF野村塁生(帝京長岡高、2年)のコンビによる2得点と交代出場MF柳田夢輝(帝京長岡高、1年)のミドル弾で3点を先取するなど、優勢に試合を進めて見せた。

 今回、新潟県は帝京長岡高の16人で大会に臨んでいる。新型コロナウィルスの影響で3月、4月に県選抜の活動をすることができないなどの諸事情もあり、力のある世代でもある帝京長岡の1年生中心のメンバー構成となったようだ。

 帝京長岡の16人とは言え、5人の早生まれ2年生と1年生11人が普段一緒にプレーする機会はなく、すり合わせの難しさがあったことも確か。ただし、「能力があるし、しっかり止める・蹴るとか、特に蹴る技術はかなり高いんじゃないかと思います。ピッチ外でもしっかり落ち着いて自分たちの立ち振舞をしている」(原監督)という16人は、新潟県の代表という責任感も持って国体に臨み、前回王者を撃破した。

 主将のCB渡辺陽翔(帝京長岡高、2年=F-THREE U15出身)は、「(相手が)前回大会王者ということで、たぶん静岡勝つんじゃないと思われていたと思うんですけれども、全体が一体感を持って、自分たち帝京長岡だけだったので自分の特長も分かり合っていたし、チーム一体となって戦えたことが勝利に繋がったと思います」と胸を張る。

 その渡辺は気迫溢れる動きで勝利に貢献。左足のビルドアップ、フィード力を特長とするDFだが、力強い潰し、インターセプトからのスプリント、鼓舞する声などでチームを牽引した。「ここに懸ける思いが違った。アピールする場面ですし、(帝京長岡の)選手権も始まってくる。ここで勝利することで自分の進路とかも変わってくると思う。そういう気迫のところはあった」。新潟を代表して戦うという責任感の強さも特別なモノがある。

「県を背負ってこの16人が選ばれていて(帝京長岡や他のチームの)1年生で選ばれていない人もいる。県の代表として恥ずかしい試合はできないので、責任感は誰一人欠けることなく全員が持ってプレーできていたと思います」

 初戦で見事に勝ち切ったが、戦いはまだスタートしたばかり。高い目標を掲げる選手たちは、内容面もまだまだ向上させることができると考えている。渡辺は「自分たちらしく剥がして、もっとゴールに繋げていけたら、もっと上に行けると思う。まず次の試合に向けてしっかりと準備して、まず目の前の試合を一個一個勝って行くことで決勝まで繋げていきたいと思っています」。新潟の最高成績は14年大会の4位。まずは北海道との準々決勝(4日)で勝利し、県の最高成績に並ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
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