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[国体少年男子]過去最高は初瀬ら擁した準優勝…“粘り勝ちのチーム”大阪府が地元開催の栃木県を破りベスト4へ!

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大阪府がベスト4へ

[10.4 国体少年男子準々決勝 大阪府 2-1 栃木県 真岡市総合運動公園陸上競技場]

 U-16世代の日本一を争う第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」サッカー競技少年男子の部は4日、準々決勝を実施。大阪府と栃木県の一戦は、FW山田光太郎(1年、C大阪U-18)とMF藤井龍也(1年、C大阪U-18)のゴールによって大阪が2-1で勝利した。5日の準決勝は神奈川県と対戦する。

 開催県の栃木が相手とあり、観客のほとんどが栃木を応援する人ばかり。MF長田叶羽(1年、G大阪ユース)は「完全にアウェイな状態なので、みんなが良いプレーして(観客を)味方に付けられるかが大事と話していました」と振り返る。意気込みが上手くチームに反映され、序盤からテンポよくパスを繋いで主導権を握ると、前半5分にはDF國岡俊哉(1年、興國高)が自陣から入れた左足フィードが相手DFの裏に落ちた。走り込んだのは、俊足の山田。相手DFと接触しながらも、粘り強くゴール前まで持ち込むと、最後は豪快にシュートを叩き込んで、大阪が幸先の良いスタートを切った。

 以降も長田を中心としたビルドアップで相手エリアまでボールを運んだが、シュートには至らない。そうした試合展開は栃木としては狙い通り。「栃木は相手に握らせ、ブロックを作り、カウンターを狙うチーム」(坂元博晃監督)で、8月に行われた大阪招待で大阪と栃木が対戦した際もブロックでの守備からカウンターを受け、0-1で負けていた。

 したたかに一発を狙った栃木にチャンスが生まれたのは、27分。前線からの連動した守備で、大阪のビルドアップミスを乱し、MF揚石琉生(2年、栃木U-18)がゴール前でのボール奪取に成功。奪ってからは「左利きなのでカットインしようと思ったら、相手が引っ掛かってくれたので、落ち着いて流し込みました」と冷静に決めた。直後の28分と33分にもカウンターから素早く大阪のゴールへと襲い掛かり、流れを引き寄せて前半を終えた。

 後半に入ってからも栃木の流れは続き、開始30秒には高い位置で奪ったFW坂本勇(1年、佐野日大高)がシュート。7分には右CKのリターンを揚石がゴール前に入れ、ファーからの折り返しがこぼれた所をMF直井芳樹(1年、栃木U-18)が狙ったが、得点には至らない。

 我慢の時間が続いた大阪の流れを変えたのは、攻撃参加を売りとする左SB西川宙希(1年、C大阪U-18)のプレーだ。15分には思い切りよく左サイドを駆け上がると、ゴール前に素早いボールを展開。中央で合わせた藤井のシュートはミートしなかったが、目の前にこぼれたボールを自らが素早くゴールネットに突き刺した。このゴールが決勝点となり、大阪が準決勝に駒を進めた。

 毎年のように年代トップクラスの選手を揃え、優勝候補に挙げられる大阪だが、優勝経験は一度もない。今年の代は、個として飛び抜けた選手は少なく、東京都と神奈川県がAFC U17アジアカップ2023予選のメンバーに4人選ばれ、今大会のメンバーから外れた一方、大阪から選ばれた選手はいなかった。DF初瀬亮(ヴィッセル神戸)やMF牧野寛太(AC長野パルセイロ)らを擁し、準優勝を果たした2013年の東京国体で指揮を執った坂元監督も、そうした今年の力を理解しており、「今年のチームは結果として、1点でも多く取れたら良い。余裕のあるゲームは1試合もないと思っている。粘り勝ちのチーム」と口にする。

 個の力を補うため、選抜チームならではの連携不足を補うため、「ボールを獲られるのは当たり前」(坂元監督)とチーム全体に攻守の切り替えを意識させ、武器にまで高めてきた。試合を重ねるごとに選手同士の仲が深まり、チームワークも増している。「自分たちの代には飛び抜けた選手はいないけど、全員で一つになったら超えられるとみんなが思っている」。FW東潤之介(1年、興國高)が口にする通り、今のチームには個の力を補う以上の魅力を備えている。準決勝で対戦するのは、これまでなかなか勝てずにいる神奈川だが、チーム一丸となって粘り強く戦えば、自ずと結果が付いてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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