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[MOM4023]大阪府MF長田叶羽(1年、G大阪ユース)_チームが変わる存在感…攻守とコーチングで魅せるプレーメーカー

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大阪府MF長田叶羽(1年、G大阪ユース)

[10.4 国体少年男子準々決勝 大阪府 2-1 栃木県 真岡市総合運動公園陸上競技場]

 憧れの選手として挙げるのはベルギー代表のMFケビン・デ・ブライネとMF遠藤保仁(ジュビロ磐田)。2人と同じように巧みな位置取りでボールを引き出し、ミスなくパスを散らして攻撃のリズムを作りながら、機を見ては相手ゴール前にラストパスを入れていく。「元々、パスで相手が翻弄したり、パスで相手を遊ぶのが好き」と笑うように、遊び心のあるプレーも魅力の一つ。プレーメーカーとしてのセンスを感じさせるのが、大阪府のMF長田叶羽(1年、G大阪ユース)だ。

 準々決勝の対戦相手は地元の栃木県。「完全にアウェイな状態で、みんなが良いプレーして(観客を)味方に付けられるかが大事と話していました。入りはみんなが気合入っていて、開始5分で先制点が獲れる良い流れだった」。長田自身もDFラインからのビルドアップに上手く顔を出し、ボールを散らして、攻撃のリズムを作って行く。前半の途中までは、相手が前から奪いに来ても長田を中心に上手く剥がして、相手エリアまで持ち込む場面が多かった。

 攻撃面での貢献が目を惹くが、坂元博晃監督が今大会の成長として挙げるのは守備でのタフさ。中学時代から組み立てセンスが光る一方で、守備の強度が課題として挙げられてきた。ユースに上がってからは、ボランチの先輩である森下仁志監督から競り合いや、球際が足りないと指摘されてきたという。だが、ユースに昇格してから半年間、Aチームの上級生とプレーするうちに強度は高まっている。

「守備を伸ばしていくために、国体に挑んでいる」と口にする今大会では、中盤でのボールの奪い合いにも積極的にチャレンジ。小柄ながらもタイミングよく飛んで空中戦で競り勝つ場面も少なくない。この日も、球際で粘り強さを見せるMF小森輝星(2年、矢板中央高)と激しくやり合う場面が印象的だった。「いつも2個上、1個上とやっているので、今日みたいに同学年とやると余裕を感じました。6番(小森)のような相手に圧倒して勝てるというのは、自分の自信になりました」。

 もう一つ坂元監督が長田を評価するのは、コーチングの部分。今大会までの大阪は競り合いのこぼれ球に対し、チャレンジ&カバーが上手くできず、失点することが多かったため、今日の試合は相手のGKから出る長いボールに気を付けるよう声をかけていた。ビルドアップの際には、空いているスペースを味方に伝えるなど、戦術的な指示はお手の物。理由についてこう明かす。「小中時代はずっとキャプテンをやっていたんです。チームに声かけるというのは昔からやっているので、当たり前のこと。逆に出さないと自分の持ち味が活きない」。

 派手なプレーはないが、彼がいるのといないのではチームが大きく変わる。「長田叶羽の存在が大きかった。めちゃくちゃ効いている。1試合目からMOMクラスの動きをしてくれている。本当に良い選手」。そんな坂元監督の言葉からも絶大な信頼が感じ取れる。一方で本人は今大会でゴールやアシストなど結果でチームに貢献できていないことを課題として感じている。準決勝では攻守に効いたプレーだけでなく、目に見える形でもチームの勝利に貢献するつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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