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[国体少年男子]「撃破する」に集中、新たなヒーローも誕生の北海道が27年ぶりの準決勝進出!

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後半27分、北海道は交代出場のDF三舩煌晴(北海道コンサドーレ札幌U-18、1年、中央)が同点ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.4 国体少年男子準々決勝 新潟県 2-2(PK5-6)北海道 下野市大松山運動公園 陸上競技場]

 一体感のある戦いを続ける北海道が、目の前の相手をまた「撃破」。95年以来、27年ぶりとなるベスト4進出を果たした。

 前半3分にFW畑山聖那(北海道コンサドーレ札幌U-18、1年)のゴール先制。前半12分にオフサイドギリギリで抜け出されて今大会3試合目で初失点を喫してしまったが、森川拓巳監督(北海道コンサドーレ札幌U-18)から「失点はするものだ。ミスと一緒だから緊張の糸が切れたりしないように」と助言されていた選手たちは、すぐに自分たちで集まって言葉を掛け合い、引きずらずに試合を再開する。

 前半19分に再び失点したものの、「今日は1、2戦と比べたらかなり自分たちの時間ができていた。選手たちはやれるという自信とまだ前半というところがあったんじゃないか」(森川監督)。ビハインドの続く状況。新潟県よりも1試合多く戦ってきた北海道は体力面でも厳しい戦いだったが、選手たちは自発的に盛り上げながら、同点を目指し続ける。

 ベンチスタートのムードメーカー、DF三舩煌晴(北海道コンサドーレ札幌U-18、1年)は「ベンチからもずっと自分を中心に声を出していたし、交代した時も一番元気なので声を自分で積極的に出したり、行動、プレーで示したりするようにしていました」と振り返る。

 その三舩を後半17分に投入するなど、北海道は選手交代を繰り返しながらギアを上げていく。迎えた後半22分、北海道は交代出場MF川崎幹大(北海道コンサドーレ札幌U-15、中3)の斜めのパスで三舩が右中間のスペースを突く。

 そして、「もう負けていたので決めることしか考えていなかったです。ゴールに、シュートのことしか考えていなかったです。(このチャンスで)行けるじゃなくて、行くしか無いと考えていました」という三舩が、ゴールへ蹴り込むことだけを考えて右足シュート。これが飛び出したGKの頭上を越えて、ファーサイドのゴールネットを揺らした。

 自称「ラッキーボーイです」の三舩は、北海道トレセンリーグU-16兼国体選手選考会の代表決定戦でも交代出場で同点ゴールを決めているプレーヤー。「トーナメントは絶対にヒーローが出る。ボクはそのタイミングだけ考えれば良いので」という指揮官の采配も的中し、北海道は同点に追いついた。

 迎えたPK戦は7人目までもつれ込む展開に。ここで今大会初先発のGK竹内琉真(北海道コンサドーレ札幌U-18、1年)が止めて決着をつける。前日に交代出場で劇的な決勝点を決めたFW真浦劉(札幌大谷高、1年)、三舩に続き、新たなヒーローが誕生。27年ぶりの準決勝進出に喜びを爆発させた。

 同点ゴールで流れを変えた三舩は、「DFラインとかもずっと守ってくれたり、前線からも追いかけてきてくれて。相手を疲れさせてきてくれたから自分が得点するシーンができたのでみんなには感謝しています」。目の前の相手に勝つこと、「撃破する」ことに集中し、16人全員で白星を掴んだ北海道は、初の決勝進出を懸けた準決勝で青森県と対戦する。

 森川監督は「気持ちは変わらずですね。一戦一戦、次の試合は考えずにこの一戦に集中しようと言い続けて、その日、その日、『撃破しよう』と言っているので、明日もその一戦に向けてやるだけです」ときっぱり。三舩も「やることは今までと変わらないので、いつも通り、チームで全力で戦っていきたいと思っています。自分は特長とかないので、しっかりチームのために走ったり、声を出したり、動いて活躍したいと思っています」と力を込めた。準決勝もこれまで通り戦うだけ。次々とヒーローが生まれる北海道が一体となって戦い続け、新たな歴史を築く。
 
(取材・文 吉田太郎)
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