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[国体少年男子]上手さも、強さも、選手層も日本一へ。神奈川県が代表組不在を感じさせない戦いで堂々の決勝進出!

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神奈川県は成長株のCB山中大輝(川崎フロンターレU-18、1年)らが活躍。日本一に王手をかけた。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.5 国体少年男子準決勝 大阪府 1-4 神奈川県 下野市大松山運動公園 陸上競技場]

 上手さも、強さも、そして選手層の厚さも日本一であることを示す――。神奈川県は当初の登録メンバーから5人が交代。そのうち4選手は現在、U-16日本代表の一員としてU17アジアカップ予選(ヨルダン)を戦っている選手たちだ。主軸ボランチや2人のCB、左SBを欠いて国体を戦っている神奈川県だが、それを感じさせないような上手さと強さ。いずれも優勝歴のある広島県、東京都を連破し、この日は準優勝7度の強敵・大阪府に4-1で快勝した。

 この日は準々決勝から先発3人を入れ替えて大阪府と対戦。雨中の戦いということもあり、序盤はボールを大事に、ドリブル、ショートパスでゆっくりと攻める神奈川スタイルよりもプレッシングに重きを置いて戦った。

 だが、「しっかりプレッシングして、守備から入って途中からどんどん仕留めていこうと。でも、大阪が思っていたより上手くて、ボランチたちから奪えなかった」と関泰宣監督(横浜市立美しが丘中)は振り返る。

 ボールを奪っても、相手の鋭い奪い返しに苦戦。チームの生命線であるMF高橋友矢(横浜FCユース、1年)とMF德田佑真(横浜F・マリノスユース、1年)のダブルボランチがボールを受ける回数も少なく、なかなかポゼッション、また前進することができなかった。

 それでも、神奈川はCB山中大輝(川崎フロンターレU-18、1年)とCB埜口怜乃(横浜F・マリノスユース、1年)が中心になって無失点を続ける。特に潰しの部分で利いていた山中は、「(マッチアップした相手が)自分より背が高い相手だったので、思い切ってプレス行って、自分のところでボールを獲れたので良かった。入れ替わらないことを意識しながら、(ワンツーなどに)気をつけながら抑えられたのが良かった」と振り返る。

 そして、前半終了間際に速攻からFW寺下翔和(湘南ベルマーレU-18、1年)が鮮やかな先制点。ベンチからの檄を受けて中盤がよりボールに係わるようになった後半、選手交代も交えてギアを上げる。後半14分には、埜口のヘディング弾で加点。その後、いずれも交代出場のFW望月耕平(横浜F・マリノスユース、1年)とMF白須健斗(横浜F・マリノスユース、1年)が前がかりになった相手の背後を突く形でゴールを破った。

 この日はGK山下将真(横浜F・マリノスユース、1年)を含めて全16選手が出場し、4発快勝。関監督は「(得点シーンは)いつも通り。ゴール前の崩しはやってきたので、そこは出て良かったですね。明日日本一を取るために(各選手へ)しっかりタスクを与えて、みんなが応えてくれた」と喜んだ。

 チームの成長株の一人が山中だ。関監督は「ボールをしっかり繋げるようになりましたね。背後取られるシーンが少なくなって、ビルドアップを自信持ってやれるようになった」と目を細める。山中は登録変更でメンバー入りしたプレーヤー。だが、堂々のプレーで勝利に貢献している。

 山中は「神奈川のチームは、CB2人抜けているので、ボクと(埜口)怜乃でしっかり優勝に導かないといけない」と力を込める。U-16日本代表のCB土屋櫂大(川崎フロンターレU-18)やCB本多康太郎(湘南ベルマーレU-18)の上手さを認めた上で、1対1は自分も負けないという自信も。今大会2得点の埜口やこの日先制アシストの左SB布施克真(日大藤沢高、1年)を含め、各選手が代表組に負けないようなパフォーマンスをしていることが印象的だ。
 
 国体の登録メンバーは16人。だが、関監督は「(神奈川には)まだ他にもいますから。高体連にもいますし、発見できていない才能がめちゃくちゃいると思います。大学出たあとに化ける選手とか、ここから追い抜く子たちがいるので。いろいろなところから出てくるのが神奈川」。小中高の熱心な指導者に育成されてきた選手たち。トレセン活動でパスアンドコントロールやポゼッション、崩しのタイミングと角度にこだわって練習してきた彼らは、誰が出ても活躍できることを示している。
 
 関監督が「日本で一番上手い子たち」と断言する神奈川は、“ちこちこサッカー”と呼ばれるドリブル、コンビネーションによる攻撃的なサッカー、そして堅守で日本一へ。山中は「ここ3試合通してコーチにも段々良くなったと言われいている。自分の良さを出していきたい。“ちこちこサッカー”でしっかり日本一を目指して、明日良い形で帰れたらと思います」。神奈川U-16年代で最も上手い、最も強い、そして最も選手層が厚いことを示し、頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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