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[MOM306]流通経済大DF今津佑太(1年)_“ストップ呉屋”完遂

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.15 総理大臣杯全日本大学トーナメント準決勝 流通経済大 0-0(PK4-3)関西学院大 キンチョウ]

 “ストップ呉屋”。この試合で流通経済大守備陣に課せられたテーマは難易度の高いものだったが、彼らは見事にその仕事を完遂してみせた。その中で1年生ながら健闘をみせたのがCB今津佑太だ。

 流経大は関西学院大の全日本大学選抜FW呉屋大翔に対してCBの今津と田上大地、時にはボランチの一人も含めた3人の包囲網で徹底的にマークした。CBの2人とボランチの2人は流経大付属柏高出身。田上とMF古波津辰希は高校時代に同学年の呉屋と共にプレーしており、そういった背景も含めて“あいつには負けられない”という強い思いを持って戦っていた。

 今津にとっては2学年離れていたこともあって「雲の上の存在だった」が、183cmという体格を生かしたハードな守備や空中戦などで臆することなく立ち向かっていった。「呉屋くんはCBの間とか嫌な位置でボールを要求していたし、クロスに対してもすごくいい嗅覚を持っている。そこは田上さんとマークを受け渡して対応した。最終的には、そこにボールが入ってくるので」と守備のポイントを説明。後半15分に今津がニアサイドを守っている時に、ファーサイドへ流れた呉屋にヘッドを許した場面があったが、110分間に許したシュートはその1本だけ。大学サッカー界屈指のストライカーを抑え切ってみせた。「前半は向こうも強い動き出しとか、中で受けようとしていた。でも、自分たちの守備が安定していったこともあって“意地でも点を取ってやろう”というような雰囲気が次第に消えていったように感じた」と手応えを口にしている。

 今大会、流経大は怪我人などの影響もあるが、中盤から前線の選手構成は試合ごとに変わっている。一方で最終ラインの4人は不動。今津もその一角として堅守を支える。前期リーグで戦っていたのはトップチームではなく、そこに入れなかった選手たちが登録される社会人リーグ所属のクラブドラゴンズ。そこから大会前にトップチームに合流し、スタメンに名を連ね始めたのは今大会からだ。「まだ定位置をつかんだなんて思っていません。気を抜いたら、いつポジションがなくなるかわからない」とチーム内の競争の激しさを語っている。とはいえ、ここまでの3試合で見せたパフォーマンスが彼の評価を高めているのは間違いない。

 決勝戦の対戦相手は関東2部リーグに所属している法政大。その決勝戦には、つい先日までチームメイトとして戦っていた仲間たちが、関東での社会人リーグの試合を終えて再び大阪に戻ってくる。「自分も(大会前は)応援する側だった。うちは応援の練習もしているし、流経大の特長の一つになりつつあると思う」という声援で選手を後押ししてくれるはずだ。「“自分が優勝する”とかじゃない。試合に出れない4年生たちや他の選手の分まで戦って、みんなの為に優勝という結果をつかみたい」。やるべきことは、ただ一つだ。

(取材・文 雨堤俊祐)
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