beacon

「信じてやってきたことが間違っていないと」鹿屋体育大がJ内定MF相馬ら擁する早稲田大を延長戦で撃破

このエントリーをはてなブックマークに追加

鹿屋体育大が早稲田大を延長戦の末に下した

[9.3 第42回総理大臣杯2回戦 早稲田大 3-4 鹿屋体育大 ヤンマーフィールド長居]

 夏の大学日本一を決める第42回総理大臣杯は3日に2回戦8試合を実施。ヤンマーフィールド長居で行われた早稲田大(関東5)と鹿屋体育大(九州3)の一戦は延長戦の末、鹿屋体育大が4-3で勝利した。

 初戦で2度の優勝経験を持つ阪南大(関西4)に3-0で快勝。関東の強豪である早稲田大を迎えたこの日も、塩川勝行監督が「粘り強く戦って、相手の隙を突こうと考えていたので、こんな打ち合いになるとは思わなかった」と驚いたように堂々とした戦いぶりで攻め勝ち、準々決勝へと駒を進めた。

「僕らはチャレンジャー。1対1や気持ちなど細かい部分では絶対に負けずにいようと考えていた」(MF渡邊宥也=4年=今治東中等教育)ものの、キックオフと同時に落ち着いたボール回しから、J1名古屋グランパスの特別指定選手としてプロデビュー済みのMF相馬勇紀(4年=三菱養和SCユース)とMF石神佑紀(4年=市立浦和高)を押し込まれた。前半9分には左でボールを持った相馬の低いクロスが直接決まり、ビハインドを背負ったが、16分にはMF森川和命(4年=熊本ユース)の右クロスを中央のFW岡田浩平(4年=高川学園高)が合わせて、試合を振り出しに戻した。しかし、流れは変わらず前半終了間際にはMF鍬先祐弥(2年=東福岡高)の縦パスから、石神に追加点を許し、「相手にボールを握られながらも、我慢して戦うことができていたのに、嫌な流れだと思った」(塩川監督)。

「前半はボールを横に動かしたらチャンスを作れていたので、そこを意識させた」(塩川監督)後半は、積極的に森川とMF澤居道(4年=名古屋U18)の両サイドにボールを配球し、サイドを仕掛けることで空いた中央を攻略。前半はボールを受ける機会が少なかったFW根本凌(1年=上田西高)も「相手のセンターバックは強かったけど、ちゃんと身体を当てればやれることは分かった」とスペースに流れながら潰れ役として機能し始めると、15分にはMF樋口雄太(4年=鳥栖U-18)の縦パスを相手守備網のギャップで受けた渡邊が同点弾を決めた。25分には相馬にこの日2点目を決められ再び引き離されたが、45+3分にMF五十嵐理人(1年=前橋育英高)が左からクロスを展開。DF宮内真輝(2年=福岡U-18)が頭で落としたボールを途中出場のFW藤本一輝(2年=藤枝明誠高)が押し込み、延長戦へと持ち込んだ。

「途中出場した選手がそれぞれの持ち味を出してくれた」(塩川監督)ことで一命を取り留めた鹿屋は延長後半5分に相手DFのクリアミスを奪った藤本が勝ち越し点をマーク。終了間際にはCKからのヘディングシュートを打たれ、肝を冷やす場面もあったが、ライン際で跳ね返し、4-3で勝利した。

 熱戦を制した鹿屋は九州リーグのスタートで躓き、前期3位という成績で終えたが、試合を重ねるうちに今季から取り組むボールを動かし、ピッチを広く使ったサッカーが浸透してきた。それでも、「関西勢と関東勢とどれだけできるか分からなかった」(塩川監督)と全国での戦いに不安もあったが、2試合続けて強豪を撃破。「九州以外のチームと対戦する機会が少なく、自分たちのレベルが分からなかったけど通用する部分が多くて、自信になった」(渡邊)。

 ここ数年、鬼門だったベスト16の壁を突破できたことで、「信じてやってきたことが間違っていないと証明できた」(塩川監督)のも追い風だ。このままの勢いで、頂点まで突っ走る可能性は十分にある。準々決勝でも、その強さを見せつけることができるか注目だ。

(取材・文 森田将義)
●第42回総理大臣杯特集

TOP