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[MOM544]鹿屋体育大MF樋口雄太(4年)_J注目、眩いばかりの存在感

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鹿屋体育大の主将MF樋口雄太

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.3 第42回総理大臣杯2回戦 早稲田大 3-4 鹿屋体育大 ヤンマーフィールド長居]

 鹿屋体育大の10番でもあり、主将でもあるMF樋口雄太(4年=鳥栖U-18)がピッチで見せる存在感は誰よりも眩い。「球際とサイドに展開できるところがアイツの特徴。僕が前に出た時も安心して後ろを任せられる」と証言するのは、ボランチでコンビを組むMF渡邊宥也(4年=今治東中等教育)。早稲田大(関東5)に挑んだこの日も、攻守両面で効いたプレーを繰り返し、チームの勝利に大きく貢献した。

 初戦の阪南大(関西4)戦で快勝した勢いそのままで挑みたかった前半だったが、激戦区・関東の予選を勝ち抜いた力は伊達ではない。開始から相手に攻撃に苦しみ、前半9分に失点を許したが、「初戦の前半だけで3点獲れていたので、まったく焦らず試合を運べた」。MF鍬先祐弥(2年=東福岡高)を中心に落ち着いたボール回しを見せた相手の中盤に対しても、「飛びこまずに一定の距離を保ちながら、球際の強さを意識していた」ことが奏功し、互角の戦いを演じた。

 攻撃面では正確な展開力を活かしたサイドへの配球が目立ったが、後半15分に魅せたのは本人が拘る判断の良さだ。中盤の中央でボールを持つと、右サイドのスペースと中央という2つのパスコースがあったが、「昨日も渡邊に出してチャンスが作れた。渡邊は調子に乗るタイプなので、アイツに出せば決めてくれると思った」と瞬時に中央に位置した渡邊への縦パスを選択。上手く相手DFのギャップで受けた渡邊がすかさずシュートを放つと、DFに当たったボールはフワリとゴールネットに突き刺さった。

 その後は双方とも1点ずつ奪い、勝負の行方は延長戦に委ねられることになった。試合が進みにつれて、攻撃陣が次々に入れ替わる中で最後までピッチに立ち続けたのは信頼の表れで、延長後半5分にFW藤本一輝(2年=藤枝明誠高)が決勝点を奪うと、最後まで主将としてチームを鼓舞し、勝利を引き寄せた。

 入学初年度の総理大臣杯は、FWとして出場したように元々は攻撃色が強いタイプの選手で、「高校の時は好きにやらせてもらっていたので攻撃ばかりをやっていた」。大学に入ってからは、「守備もやらないと上のステージに行けない」と考え、練習から狙いを持った守備を意識。アジリティーの良さを活かしながら、球際での勝負を仕掛ける姿勢も打ち出したことで、今のポジションにたどり着いた。

 Jクラブからも注目されており、すでに複数のチームの練習に参加している。総理大臣杯を終えた後には、中学と高校を過ごした鳥栖の練習にも参加する予定だ。今大会はプロ入りを掴むためには絶好のアピールの場でもあるため、「インカレもあるけど、ここで結果を残さないと苦しくなるので、総理大臣杯にかける想いは人一倍強い」。次戦以降も、らしさをしっかりと見せることができれば、朗報が舞い込むはずだ。

(取材・文 森田将義)
●第42回総理大臣杯特集

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