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直前合宿で得点力アップに着手、法政大は前半で畳みかけて初戦突破「タイトルが獲れるメンバーはいる」

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[8.26 総理大臣杯2回戦 法政大3-1IPU・環太平洋大]

 第45回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントは26日に2回戦1日目を実施。法政大(関東2)とIPU・環太平洋大(中国1)の一戦は、MF田中和樹(4年=浦和学院高)の先制点を皮切りに3点を奪った法政大が3-1で勝利した。

 関東1部リーグで首位を走る法政大だが、ここ数試合は前半のうちに点が獲れていなかった。アミノバイタルカップでも先に点が獲られる状況が続いていたが、大会前に行った合宿で得点力アップに着手。今年の特徴である粘り強い守備に加えて、ゴール前に人数をかける分厚い攻撃を試合開始と共に仕掛けた。

「今年の法政の強みは後ろからの走力や、前に絡んでいく速さ。二列目から飛び出すと相手のマークも付きづらいので意識している」と話すのは、MF松井蓮之(4年=矢板中央高)。自陣からのパスを繋いで前進しつつ、DF今野息吹(2年=三菱養和SCユース)やDF宮本優(4年=清水ユース)が後方から積極的に飛び出し、IPUを押し込んだ。

 最初の見せ場は前半11分。右サイドのスペースに流れたMF中井崇仁(4年=尚志高)のクロスをファーサイドから中に絞った田中がシュート。この一撃はGK轟大和(2年=飯塚高)に阻まれたが、自らの前にこぼれたボールを押し込んだ。19分には、左サイドを駆け上がった今野のクロスを中井が滞空時間の長いヘディングで合わせて、2点目をマークした。

 前がかりになる攻撃をケアする松井とMF渡邉綾平(2年=前橋育英高)のリスクマネジメントもハマり、45分にはハーフウェーライン付近で松井が相手ボールをカット。「良い所にボールがこぼれてきたので、GKの位置を見て冷静に狙った」ロングシュートが決まって、3点リードで前半を終えた。

 対するIPUは前半を無失点で終え、後半からFW山内大河(4年=国見高)とFW恩塚幸之介(4年=日章学園高)を入れることで、攻撃のギアを入れるのがゲームプラン。だが、早々の2失点により当初の予定よりも早く2人を投入せざるを得なくなった。

 それでも、法政が繰り出した高い位置からのプレスに苦しみながらも、自陣からのビルドアップにチャレンジ。「ボールを持った時に思っていたよりもいなせた」と振り返るMF曽田一騎(4年=大社高)や、MF辻岡佑真(2年=高松工芸)がプレスをかわして前進を試みたが、フィニッシュまで持ち込めない。

 後半の法政大は、準々決勝以降の連戦を見据えて、FW飯島陸(4年=前橋育英高)ら2列目の3選手を入れ替え、温存に出た。メンバーが代わっても攻撃力は落ちず、後半27分には前線のポストプレーを受けた飯島がPA右からシュート。44分にも高い位置でのボール回しからMF安光将作](4年=千葉U-18)がクロスを上げ、飯島が頭で合わせたが、共にポストに阻まれ、追加点は奪えない。

 対する守備は前半と比べ、前からのプレスを緩めたため、IPUにボールを持たれる時間帯が増えたが、「今年のチームの良さ」(長山監督)であるDF{{落合毅人(3年=新潟明訓高)を中心とした粘り強い守備で失点を回避し続けた。しかし、41分には山内の右CKからDF坂本玲(2年=鳥取U-18)にヘディング弾を決められ、3-1でタイムアップ。長山監督は「これからの試合では、失点が命取りになると思うので、しっかり修正しなければいけない」と気を引き締めた。

「間違いなくタイトルが獲れるメンバーはいると思う」。松井が自信を覗かせる通り、J内定選手を4選手揃える今年の法政大は大会屈指のタレントが揃う。この日の試合でも、関東1部リーグで暫定首位に立つ実力を存分に見せ付けたが、目標を高い位置に置いているため、気の緩みは見られない。

「今年は全タイトルを目指しているのに、まだ一つも獲れていない。まずは一つ獲りたいけど、一戦一戦しっかり勝っていかないとタイトルには結びつかない。謙虚に粘り強く戦っていきたい」と口にするのは長山監督だ。準々決勝以降も法政大らしく戦い、歓喜をつかみ取る。

(取材・文 森田将義)
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