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大会直前は“21人中21番手”…チャンス掴んだ新潟医療福祉大DF坂岸寛大は大臣杯でさらなる成長へ

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先制点を挙げた新潟医療福祉大DF坂岸寛大(3年)

[8.25 総理大臣杯3回戦 新潟医療福祉大1-2びわこ成蹊スポーツ大]

 新潟医療福祉大は総理大臣杯ベスト4を懸けた戦いでびわこ成蹊スポーツ大に1-2の逆転負けを喫した。先制点を挙げたのはDF坂岸寛大(3年=横浜創英高)。佐熊裕和監督曰く「メンバー21人中21番手だった」選手は小さなチャンスを掴み取り、そして敗戦に悔しさをにじませる。「新潟に帰ってもっと特訓して、インカレで活躍したい」。坂岸にとって大きな経験を積んだ大会となった。

 右サイドに強力アタッカーMFオナイウ情滋(4年=正智深谷高/仙台内定)を擁する医福大。佐熊監督は強敵・びわこ大が警戒するであろう右サイドとは逆の、左サイドでの打開を指示。坂岸とDF沼田皇海(4年=尚志高)がその任を受け、何度も攻撃を仕掛けた。

 前半27分にその策が奏功。左サイドのパスワークからMF野開ディラン(4年=札幌大谷高)が深い位置までは入りこみ、PA中央に折り返す。混戦からFW小森飛絢(4年=富山一高/千葉内定)がマイナス方向にボールを落とすと、「ゴール左のニア上が空いていたので流し込んだ」(坂岸)。渾身のシュートで均衡を崩してみせた。

 初戦の関西福祉大戦(○5-1)はメンバー外。2回戦の中京大戦(○3-0)ではハーフタイムから出場した。負傷者などのチーム事情もあったが、指揮官は「練習ではそこそこのパフォーマンスをしていて悪くなかった」と坂岸の起用理由を語る。そして3回戦はフル出場。「きょうは非常にがんばってくれた」と率直に称えた。

 しかし、先制した医福大はその6分後に追いつかれ、後半開始早々に逆転を許す。そのまま追いつくことはできずに1-2で大会を終えた。「もっと自分たちがやるべきサッカーをやって、もっといい流れを持っていけたら。それもできなくて、パワーゲームみたいになってしまって負けたという感じです」(坂岸)。

 実戦には素直に手応えを口にする。「いままで自分はメンバー外でやってきて、今大会も最初はメンバー外、バックアップメンバーとしてやっていた。ずっと悔しい思いをしながらやってきて、ずっとコツコツやってきた。出たら決めてやるっていう、決めれるっていう自信もあったし、そういう気持ちで戦えていたので、点も決めれて、結果を出せたのはよかった」。今大会初の先発、初のフル出場、そして初ゴールは、大きな価値をもたらしたようだ。

 坂岸は高校時代まではサイドバック。だが佐熊監督は一列前に上げて、より攻撃的なポジションで成長を見守る。「守備はきちっとできる。ハードワークもできるし、左足の精度はかなり高いモノがある。スピードもものすごくある子。しっかり育てたいと思います」。3年生の夏、“21番手”は大きな転換点を迎えた。

(取材・文 石川祐介)
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