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大学日本一を目前に痛恨ミス…躍進支えた大院大守護神・梅田陸空の残酷な結末「自分の甘さが出た」

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大阪学院大GK梅田陸空(4年)

[9.4 総理大臣杯決勝 国士舘大2-1大阪学院大 西が丘]

 大阪学院大初の決勝進出の立役者、GK梅田陸空(4年=大阪学院大高)。1回戦、3回戦、準決勝と合計6度のPKセーブを果たし、その活躍でチームを牽引してきた。しかし、決勝で訪れた残酷な結末。後半アディショナルタイムの痛恨ミスで、相手に優勝決定ゴールを与えてしまった。「最後にああいうミスをしてしまって、自分の甘さが出たかなと思います」と振り返った。

 無類の強さを誇るPKストップ以外にも、抜群の安定感でゴールを守ってきた梅田。だが、決勝では相手の決定機で痛恨のミスを起こす。前半20分、相手の左CKに飛び出したが、味方と交錯してボールをこぼす。その隙に無人のゴールに決められた。

 前半のうちに味方が点を取り返すと、その後は再びアグレッシブにゴールを守り続ける。「(CKでは)ミスした後も全部出て、最初はパンチングしてしまったんですけど、後半は全部キャッチしようと思って、しっかりキャッチできたので、そのへんはよかったです」。後半13分の相手のCKも体を投げ出してがっちりキャッチ。同35分の相手のクロスもすばやい飛び出しからセーブし切った。

 梅田の守備から、チームの攻撃にもいい流れは伝播し、大院大はサイドの攻撃から何度もチャンスを作る。しかし、今大会で特に梅田が意識していた国士大の守護神、GK飯田雅浩(4年=青森山田高)もスーパーセーブを見せる。1-1のまま試合は90分が経過して後半アディショナルタイムへ。会場の空気は延長戦、そしてその先のPK戦を覚悟するものに変わりつつあった。

「PK戦になったらやれる自信がありました。PKになるかもとよぎってしまったのもあります」(梅田)

 自身の勝利パターンになるかもしれないという思いが梅田の頭をめぐる。その気の緩みがおもわぬプレーを起こしてしまった。後半アディショナルタイム3分過ぎ、味方と相手の交錯によってボールが高く上がりながら自陣PA内へ。ボールには不規則な回転がかかっていた。梅田はすかさず飛び出す。

「回転をめっちゃ見ようと思って待ったんです。よく見ていたんですけど、それより回転していて、違うところに行ってしまった。はじき飛ばせるのをキャッチしてカウンターにと先を考えてしまった」。不規則にバウンドしたボールは梅田の身体を避け、相手選手にわたる。そのまま無人のゴールにシュートを決められた。

 歓喜爆発の国士大と、呆然とする梅田ら大院大。約1分後に試合は終了。大院大は1-2で初優勝を逃した。立ち尽くす梅田に、駆け寄ったのは相手GK飯田。「頭真っ白だったと思うので覚えているかわからないですけど、少しでも自分が声をかけたということだけでも覚えてくれていたらいいかなと思います」(飯田)。

 梅田はその言葉をしっかりと耳に入れている。「ここまで来れたのはおまえのおかげだから、最後まで胸張ってやれという声をもらいました。完敗ですね今日は。しっかり止められた。いい選手でした」。

 2失点ともに自らのミスが絡んだ。「自分の長所であるCKの対応で失点してしまった。そこから自分で持ち直そうと思って、後半いい流れを持ってきたんですけど、最後にああいうミスをしてしまった。自分の甘さが出たかなと思います」。試合終了直後にはショックを隠し切れていなかったが、その後の囲み取材では、持ち前の明るさを努めて前面に出す。「ある意味自分がMVPやなと……ポジティブに考えれば名前が売れたのかなって」。

 関西選手権、そして夏の総理大臣杯での躍進を果たした。シーズンは折り返し、後期リーグ戦からその後、冬の全日本大学選手権(インカレ)を目指していく。「これでサッカー人生は終わりじゃない。しっかりこの先、プロの世界でもやっていけるように、また大阪戻って一から練習していきたい」。これからもゴール前で見ていく季節の中で、忘れられない大学最後の夏になった。

(取材・文 石川祐介)
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