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柏内定FW古澤ナベル慈宇が圧巻のハットトリック!東京国際大が松本大に4発完勝で初の4強入り

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ハットトリックを決めたFW古澤ナベル慈宇

[9.9 総理大臣杯準々決勝 松本大 0-4 東京国際大 セイホクパーク石巻フットボール場]

 第48回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントは9日、準々決勝試合を宮城県・岩手県の各会場にて行った。セイホクパーク石巻フットボール場第1試合は東京国際大(関東7)が松本大(北信越2)に4-0で勝利し、準決勝の阪南大(関西6)戦に駒を進めた。

 前半から多くの決定機をつくり出したのは、攻撃のタレント豊富な東京国際大だった。前線からの献身的なプレーで、よくボールをおさめるFW高橋剣士朗(4年=日本航空高)と、天性のゴール感覚を持つFW古澤ナベル慈宇(4年=青森山田高/柏内定)の強力2トップを軸に迫力ある攻めを見せ続ける。ただ松本大もDF北野大和(3年=都立大塩尻高)を中心とした守備陣が粘り強い守りを見せ、MF村上慧斗(3年=東海学園高)のドリブル突破などで決定機をつくったが、ゴールを奪うことはできない。

 すると前半39分、「ペナルティエリアに入ったとき、キープして落とす役割でした。ナベルがボールを呼んでくれたので、あいつの個人技に任せようと思いました」という高橋のパスを受けた古澤が、「欲しいところに剣士朗が落としてくれたので、あとは運んで外して1対1を決めました」ときっちりゴールを決めて先制点を記録する。

 そしてその後にも前半アディショナルタイム3分、同44分に途中出場したばかりのMF齋藤晴(2年=JFAアカデミー福島U-18)のクロスからゴール前で混戦が生まれると、最後はMF古谷柊介(2年=日体大柏高)がゴールを決めて2点差とする。さらに前半アディショナルタイム6分には「自分で打とうと思ったのですが、ナベルがフリーでした」とまたも高橋が古澤のゴールを演出。前半だけで3-0とし、試合の流れを決めた。

 後半9分にも「DF板倉健太(4年=山梨学院高)の良いフィードから剣士朗が裏抜けして平行をつくって決めるだけのパスを出してくれた」という古澤がハットトリックとなるゴールを決めてダメ押しの4点目を決める。松本大は後半頭から投入され、キャプテンマークをFW宮入寛大(4年=松商学園高)から受け継いだMF上村陸(4年=静岡学園高)がドリブルで打開してチャンスをつくるなどしたが、後半はシュートを打てなかった。

 東京国際大の前田秀樹監督は1点リードの状況での前半44分、右サイドバック、サイドハーフの2選手を交代させたことを勝負のポイントに挙げた。「2枚が疲れていたので代えて、そこから攻撃の起点になってくれました」と投入した齋藤がゴールに絡んだことで一気に流れを引き寄せられたことを喜んだ。「トーナメント(ノックダウン方式の大会)は交代が難しくて、前半40分過ぎに2枚代えるとか普通は無いのですが、今まで出ていない選手や、組み合わせが良い意味で成功しました」と、かつて水戸ホーリーホックを指揮した時も見せた勝負勘をうまく働かせ、チーム史上初のベスト4進出を勝ち取った。

「関東のチームが勝っていかないといけません。日本の大学の中ではレベルが高いというのを証明しないといけません」

 関東勢としての意地を語る前田監督。チームの歴史を変え、今度は頂点を狙っていく。

 一方、チーム史上初の総理大臣杯勝利を挙げ、全国ベスト8に終わった松本大の齊藤茂監督は「全国で勝ったことのないチームが2つ勝って、学生たち、選手たちの基準を変えられました。今日、ちょっと緩めたらやられると身をもって勉強できて、今日の差が新たな基準になります」と一つの殻を破れたことを収穫に挙げた。

 チームには静岡学園高、東海学園高、中央学院高、聖和学園高などドリブルや足技を特徴とするスタイルの出身校が並び、そうした個人技を軸としたスタイルをこの日も見せた。「何もなく負けるよりは“らしさ”を出して負けようと思いました」と齊藤監督は語る。後半キャプテンマークを巻いた上村も「自分たちのスタイルで戦って、スタイルを貫こうと言って全国でそれを見せられました。でも、まだ得点に持って行くところで結果に結びつきませんでした。基準を全国に持って行きたいですね」と話す。魅せるサッカーの今後さらなる発展に期待したい。    

(取材・文 小林健志)

●第48回総理大臣杯全日本大学トーナメント特集

小林健志
Text by 小林健志

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