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異例の3年前名古屋内定発表から一転、脳震盪で1年離脱…DF大磯竜輝が復活、東海学園大を初の全国4強へ「サッカーができることが楽しい」

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DF大磯竜輝はヘッドバンドを装着して試合に出場している

[9.6 総理大臣杯準々決勝 京都産業大0-1東海学園大 女川町総合運動場 第二多目的運動場]

 DF大磯竜輝(4年=中央学院高/名古屋内定)はこの日も無事に90分を戦い終えた。「怖さもないし、全然チャレンジできています」。東海学園大(東海1)は京都産業大(関西1)を完封し、初のベスト4進出を決めた。

「公式戦の復帰は3月の天皇杯予選でした。やっぱり1年間やっていなかったのですぐに乳酸が溜まったり、自分のイメージしたプレーができなかったり、いろいろあったけど、だんだん慣れて、グランパスの練習やキャンプに参加したり、感覚はだんだん戻ってきた。大臣杯はいいメンタルでできていると思います」

 もうピッチに戻れないかもしれない。一時は本気でそう考えたこともあった。大学2年生だった24年8月、27シーズンからの名古屋グランパス加入が早くも発表された大磯だったが、同年末の大学選手権(インカレ)を最後に、試合メンバーから名前が消えた。

「(25シーズンの)名古屋のキャンプに参加したんですけど、1月下旬に脳震盪をやってしまった。練習中にマテウス選手と接触したときに肘が入ってしまいました。その前のインカレ最終戦でも軽い脳震盪をやっていたので、グランパスのドクターとか、安原さん(東海学園大監督)とも話して、少し休もうということになりました」

 脳震盪を受傷した直後は、めまいや不眠など私生活にも影響が及んだという。1か月ほどで症状は治まったが、検査結果はなかなか改善せず、ドクターからもゴーサインは出なかった。「少し怖さもあったし、焦ることもないと思って、監督とも話をして様子をみることにしました」。気づけば、最後の試合出場から1年が経過していた。


 高校時代から密かに注目を集める存在だった。千葉県出身で、中央学院高に進学。「高校選手権に憧れて流経柏や市船でやりたいと思っていたけど、中学のチームのレベルも千葉3部と高くなかったので、行ったらつぶれそうだなと思った。そこでそこそこ強いチームに行こうと思って、セレクションに行って直感で決めました」。

 セレクションを受けた際に「すぐに行きたい」と直感した大磯だったが、卒業間際に監督から、選考はギリギリだったことを明かされたという。それでも「自分はもう市船と流経を倒して選手権に出たいという気持ちに変わっていた」。2年生のころから本格的にトップチームでレギュラーとして起用され、「自分のミスで失点することも多かったけど、そこで一皮むけたと思っています」。その冬にはFC今治のキャンプに呼ばれるまでに成長した。

 高校3年生で戦った高校選手権の千葉県予選では、準々決勝で流通経済大柏高に勝利し、かつて目標に掲げていた「市船と流経を倒す」ことを果たした。全国大会出場には一歩届かなかったが、県内屈指のCBと呼ばれるまでになった。高卒でFC今治からのオファーも届いたが、先輩の多くも進んでいた東海学園大への進学を決断。「関東や関西でやるより、東海で焦らずコツコツやる方がいいと思った」と、ここでも高校進学時と同じように、這い上がる道を選んだ。

 狙い通りに1年生から試合経験を積むと、東海選抜として出場したデンソーカップチャレンジで評価を高め、複数クラブから関心が寄せられた。「他にもいろいろあったけど、大学からも近くて、練習参加したときの感覚も自分の中でマッチした」と名古屋からのオファーを受けることを決断。異例とも言える3年後の入団内定が発表された。

「監督や親とも結構喋ったんですけど、最終的には自分で判断した。いろんな意見を取り入れつつ、自分なりに挑戦したい気持ちが強かった。自分の持ち味は空中戦。そこは絶対に負けちゃいけないところだと思っている。それに右利きですけど、左足でもロングキックが蹴れるところも評価してもらえたと思っています」


 思わぬアクシデントで計画は狂ったかもしれない。それでも、ようやく明るい未来が見えてきた。「復帰して最初はヘディングが怖かったりしたけど、最初の方は『ヘディングもしなくていい』とか、『余裕を持ってやれ』と言われていた。今も余裕を持っていて、相手にボールを持たせてから突くとか、そういうのを意識できるようになった」。東海学生リーグでは、すでにヘディングでのゴールも奪っているという。

 今夏は名古屋のキャンプにもフル帯同。「キャンプ前に病院に行って、最終確認をした。次にやったらどうするとかそういった話をした。キャンプが終わっても練習に帯同できていて、コンディションも上がってきている。とにかく影響は全くない。今はサッカーができることが楽しい」。練習や試合では名古屋のトレーナーに勧められたというヘッドバンドを着用している。「これは絶対に着けてと言われていて、自分もこれがあると落ち着いてプレーできる。お守り。トレードマークになればいい」と、すべてを前向きに捉えている。

 大学に戻って臨む総理大臣杯では、中1日の連戦が続く中、準々決勝までの3試合にフル出場。わずか1失点と堅守の一翼を担い、東海学園大を初の全国ベスト4へと導いた。9日の準決勝では国士舘大との対戦が決定。相手エースFW本間凜(4年=関東一高/川崎F内定)とのマッチアップにも注目が集まる。「自分は相手のエースを自分の力で封じるのが好きで、ビッグネームに何もさせないのが好き」。大磯も当然、意識を高めている。

 本間とは、高校2年生で参加したFC今治のキャンプで一緒だった。「Jリーグデビューしていたりして、自分の方がプロは早く決めたけど、先を越された。でも自分たちはチームで守れる自信がある。国士舘をゼロで押さえたら自信にもなると思うし、優勝にも一歩近づく。とにかく目の前の試合を完封したいと思います」。

 1年間ピッチから離れたDFは、今や全国の舞台で相手のエースを封じるところまで戻ってきた。名古屋でのプロ生活を前に、大磯がまず見据えるのは、東海学園大を初の日本一へ導くことだ。


(取材・文 児玉幸洋)

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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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