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[NB CHAMPIONSHIP U-13]「仕掛ける」武器持つ無名の街クラブ、FC LAVIDAがJクラブ勢破って初代王者に!

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[7.25 NB CHAMPIONSHIP U-13決勝 鹿島つくばJY 0-2 FC LAVIDA 時之栖裾野C]

 Jクラブ育成組織や中体連、街クラブの強豪24チームが優勝を争った“全国大会級”の新設U-13大会、「newbalance CHAMPIONSHIP U-13/2016」は25日に決勝戦を行い、FC LAVIDAが2-0で鹿島アントラーズつくばジュニアユースに勝利。埼玉県の無名の街クラブがJクラブ勢4チームに勝利するなど、予選リーグから6連勝で初代王者に輝いた。

 歓喜の優勝を果たした決勝と表彰式後、主将のCB八木大翔は「一つひとつ試合に勝って、『何だ、このチーム』みたいに言われたい」と次なる野望を口にしていた。埼玉の強豪、昌平高の協力を得て活動している街クラブで、創設わずか5年目のFC LAVIDAがJクラブ勢12チームや全国中学校優勝歴のある強豪中学などを抑えて見事「newbalance CHAMPIONSHIP U-13」優勝。それも自分たちの仕掛けるスタイルと、八木を中心とした堅守も発揮する見事な戦いぶりで頂点を掴んだ。

 決勝戦は前半7分に早くもスコアを動かした。前線からのプレスで鹿島つくばJYを後退させると、相手GKからDFへのパスを左MF須賀葵がインターセプト。これを受けたFW栃久保海汰がすかさずゴール右隅へ正確な左足シュートを沈めて先制した。対する鹿島つくばJYは正確なボールコントロールを見せるMF狩野隆有を中心に反撃。10番FW五町蓮がカットインから左足シュートを飛ばしたほか、CB福原陽向がロングシュートを狙う。

 だが17分、LAVIDAは中央から持ち込んだ10番MF島村隆汰がPAへループパス。高く跳ね上がったボールを鹿島つくばJYのGKが処理を誤ってしまい、そのままゴールへと吸い込まれた。鹿島つくばJYは相手の仕掛けにボールを運ばれても、複数で上手く対応していただけに痛恨の失点。それでも、直後にMF立山大祐と右SB山口諒真を同時投入してギアチェンジを試みる。

 その山口やFW中山隼が右サイドで推進力を生んだ鹿島つくばJYが、PAへのクロスでチャンスをつくる。だが、LAVIDAは右SB本間温士を左SBへ移行して対応。このポジション変更が当たった。「相手を前向きにさせないように、強く当たったり、粘り強く守備をすることを心がけているのでボールが取れる。きょうはスピード、フィジカルのある相手に負けないように粘り強く守備できたと思う」という153cmのDF本間が相手のストロングポイントを上手く抑えることに成功。鹿島つくばJYは後半4分に山口の右クロスが中央のMF河井竜馬に通ったがシュートはGK神谷優太の正面を突いてしまう。

 鹿島つくばJYは同じく交代出場した立山が球際で良くファイト。ボールを粘り強く繋いで前線まで運んだが、LAVIDAはリームリーダーの八木がしっかりと危険を消し、CB岡崎爽多も粘り強い守りを見せる。そしてセカンドボールをMF井野文太とMF上垣武人が拾うと、井野、島村が要所で効果的なドリブル。村松明人監督は「つなぎ倒したいJクラブに対して逆転の発想ですね。押し込まれた時に蹴り返してしまうと相手のCBに跳ね返されてしまう。だからウチは中盤をすり抜けるようなイメージでいきたい」。押し込まれる中、ロングボールで逃げるのではなく、スペースを探してそこへドリブルでボールで運んで苦境を脱する。そしてチャンス、シュートに繋げる“逆転の発想”。この日も井野や島村が苦しい時間帯で中盤からドリブルで打開し、シュートに繋げていたことも勝因となった。

 鹿島つくばJYは後半22分にFW垣田将吾の左クロスを五町が左足で叩くが、これもゴールならず。前日の1回戦、準決勝では紙一重の勝負をモノにした鹿島つくばJYだったが、この日はあとわずかなところで流れを引き寄せることができず。LAVIDAが鹿島ジュニアユース、サガン鳥栖U-15に続いてJクラブ3連破を果たして栄冠を手にした。井野は「相手のプレスがキツかったですけど、シュートを打てるところでしっかり決められたのが良かった。(これから)LAVIDAの名前を全国に広げたい」と語り、本間は「まだまだ倒していないところがある。他のJ下部とかに負けないように。倒していきたい」と言い切った。仕掛ける武器を持つ少年たちの集まった埼玉東部の新鋭が、これから公式戦での躍進や個々の活躍をさらに続けて、LAVIDAの名前を全国区にする。 

(取材・文 吉田太郎)
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