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「サッカーを通じて、いわき市を東北一の都市にする」いわきFC発足!!第1期メンバー募集開始

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「アンダーアーマー」を日本で展開するドームは13日、都内の有明コロシアムで「ドームキックオフパーティー2016」を開催し、福島県社会人2部リーグに所属する「いわきFC」の運営を主事業とする「株式会社いわきスポーツクラブ」を新たに設立したことを発表した。

「株式会社いわきスポーツクラブ」は将来的なJリーグ参入を目指し、社長には湘南ベルマーレ前社長の大倉智氏(46)を迎えた。クラブのビジョンは「サッカーを通じて、いわき市を東北一の都市にする」。ドームがいわき市に建設し、今春より稼働を予定している自社物流センター「ドームいわきベース(DIB)」に拠点を置く。

 現役時代に柏レイソルジュビロ磐田などでプレーした大倉社長は引退後、スペイン・バルセロナのヨハン・クライフ大学でスポーツマネジメントを学んだ。帰国後はセレッソ大阪でチーム統括ディレクター、湘南で強化部長、ゼネラルマネジャーを歴任。14年4月に湘南の代表取締役社長に就任した。

 その後、ドームの安田秀一社長と出会い、さまざまな議論をかわす中、「スポーツを通じて世の中を豊かにする」というドームの企業理念に共感。導き出された“答え”が、いわき市を拠点としたいわきFCの運営だった。

 昨年、福島県社会人リーグ3部に所属していたいわきFCは今季の2部昇格を果たした。大倉社長は昨年末に湘南の社長を退任。新たな挑戦を決意し、「理念が合致した」(大倉社長)として、いわきFCの運営権を譲り受けた。

 5年後を目標にスタジアムの建設も計画している。「街のド真ん中にスタジアムをつくって、365日稼働させたい。そこに人が集まり、周りにいろんなものができて、若者が戻ってくる。スタジアムビジネスを通じて東北一の都市にしていきたい」と、大倉社長はビジョンを描く。

 いわきFCの拠点となる物流センター「DIB」の敷地内にはグラウンドとクラブハウスを建設中で、6月に完成予定。「午前中にグラウンドで練習をして、クラブハウスで昼食を取ったら、午後は物流センターで働く。この空間ですべてが完結するんです」。現状、Jリーグの下部カテゴリではサッカーだけでは生活できず、アルバイトなどで生計を立てている選手も多い。大倉社長は「ここでしっかり仕事もできるというのは、Jリーグのセカンドキャリアという観点からも非常に大切な環境になる」と力説する。

 監督には元オランダ代表FWのピーター・ハウストラ氏を招聘する。現役時代には95、96年の2シーズン、サンフレッチェ広島にも在籍。トゥエンテ(オランダ)やレンジャーズ(スコットランド)、リールス(ベルギー)などでプレーし、引退後はフィテッセやアヤックス(ともにオランダ)でアシスタントコーチ、フローニンゲン、デ・フラーフスハープ(ともにオランダ)で監督を務めた。

 いわきFCは2つ目のビジョンとして「日本のフィジカルスタンダードを変える ~魂の息吹くフットボール~」を掲げている。

「日本人はフィジカルが弱いからといって、U-15やU-18といった育成年代のチームはみんながバルセロナのポゼッションサッカーを目指していた時期もあった。しかし、技術に逃げてはいけないというのはずっと思っていて、それに関しては昨年のラグビーW杯でなおさら確信を持った」

 昨年秋のラグビーW杯イングランド大会では、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ率いるラグビー日本代表が大会初戦で優勝候補の南アフリカを破り、世界を驚かせた。身体的には恵まれていないと言われた日本人が技術面だけでなく、フィジカル面でも決して当たり負けせず、過去最高の大会3勝を挙げたことは、従来の見方を大きく覆す結果となった。

「なぜサッカー選手は身体が小さいのか。野球選手は大きいし、アメフトの選手も大きい。そういうことも含めて、決して技術に逃げちゃいけない。当然、サッカーはスキルが大事で、技術がなければいけないことは分かっています。それでも、あえて『日本のフィジカルスタンダードを変える』ということを打ち出して、そこにトライしたいと思ったんです」

 3つ目のビジョンは「サッカーを軸に人材育成と教育を中心に据える」こと。育成を含めた地域密着型のクラブ運営を掲げ、多くのクラブでサッカースクールの会費が収益源となっている中、いわきFCでは「スクールの無料化」も検討している。

 こうしたビジョンのもと、今月23日にいわき市内で予定している「コンバイン」でもフィジカル面や人間性を重視するという。「コンバイン」とは、選手選考となるセレクションやトライアウトのことで、アメフトではドラフト候補選手を集めた合同セレクションのことを「スカウティング・コンバイン」と呼んでいる。いわきFCの「コンバイン」では8対8や10対10といったゲーム形式の「技能試験」だけでなく、「6種目ぐらいのフィジカルテスト」も行う。技術や戦術だけでなく、フィジカル面でも高い要求を課すという。

「いわきFCコンバイン」にはいわきFCオフィシャルサイトから応募可能だが、大倉社長は「まず前提として、プロサッカー選手を取るわけではありません」と注意する。

「『ドームいわきベース』という物流センターで仕事をすることが前提にあるので、まずはしっかりと社会人として働く意欲があって、同時にサッカーをやりたいという意欲を持っていること。そして、震災で大きな被害を受けたいわき市に来る覚悟があること。そのうえで、サッカーの技能、フィジカルの技能、将来性を見させていただきます」

 アンダーアーマーという強力なバックアップを受けてリスタートを切る新生いわきFCは今後も大きな注目を集めそうだ。

▼「いわきFCコンバイン」の詳細および応募はいわきFCオフィシャルサイトから

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