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3日目まで高評価も…流経大MF高梨は「NIKE ACADEMY」入りならず、「大学に戻って練習してプロになるだけ」

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 フランス・クレールフォンテーヌで開催された「NIKE MOST WANTED グローバルファイナル」初日(4月28日)から関係者の評価が高かったMF高梨起生(尚志高流通経済大)だが、最終日(5月1日)の選考試合でその評価を維持することができず、無念の敗退に終わった。

「楽しむことができればプレーも上手くいく」というスタンスで戦っていた高梨はグローバルファイナルの4日間について「楽しかった」と振り返ったが、「もうちょっと楽しみたかったですね」と悔しさを滲ませていた。東北地方の強豪・尚志の10番を背負い、昨年の全国高校総体優秀選手にも選出されている実力者は「グローバルファイナル」初日の3対1のファーストプレーでいきなり1タッチのヒールパスを通すなど、肩の力が抜けた状態でセレクションに臨み、淡々としたプレーで自身の良さを披露。その中で相手のプレッシャーをいなして突破し、パスを通し、また遠くの選手をよく見て正確にボールを動かすなど存在感あるプレーを続けていた。

 高梨が敗退した一方、同じく東北地方の強豪校出身でコミュニケーションを取り続けてきたMF波田野海(聖和学園高卒)が合格。その波田野について高梨は「ドリブルからのシュートという形がある。凄くいい選手」と讃えていたが、3日目までより高い評価を得ていたのは高梨の方だった。

 実際に選考を担当した「NIKE ACADEMY」のジョン・グッドマン監督は「土曜日までは起生の方がいいという判断をしていた。パスセンス、1対1もいい。だが11対11では見るものがなかった。海の方が良かった」とコメント。最終日の選考試合の1本目は数こそ少なかったものの、トップ下の位置で正確な繋ぎやサイドチェンジも見せ、左WBとして交代出場した2本目には正確なラストパスで2-0となるゴールをアシストした。それでも2本目、3本目はサイドのポジションで力を発揮できず。「(できれば最も得意なポジションである)ボランチでチームをつくりたかった。(サイドで)ミスをしたりしてしまっていた」と悔しがっていた。

「パス回し、ポゼッションではセレクションの他の選手達には劣っていなかったと思う」。それでも夢に近づくため、「NIKE ACADEMY」入りを果たすためにがむしゃらにプレーしていた12人の勝者たちに比べると「(自分は世界で)どれだけできるのか試したかった方が大きい。(どうしても受かりたいという)決意が足りなかった」。現時点で大学サッカーの強豪・流通経済大での挑戦をスタートしている高梨は、この戦いに懸けていた波田野らに比べると、海外でサッカーをすることへの迷いが生じ、それがプレーにも少し影響する部分があったかもしれない。

 思いの強さ含めて、学んだことを今後活かすだけ。「球際の弱さが分かった。タメになりました」と語った高梨は「大学に戻って練習してプロになるだけ」。今回のセレクションでは波田野や海外の選手に敗れたが、ここからの成長度、そして将来の結果で必ず逆転して見せる。

(取材・文 吉田太郎)

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