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[FANATICインタビューVol.1]目指すのは“仕事も遊びもサッカーもできる変なヤツ”~アパレル営業・プレス新庄翔太さん~

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 アディダスが主催する「FANATIC Tokyo2016」が6月4日にしんよこフットボールパークで開催された。アパレルブランドやニュースメディアなど32チームが集う中、参加プレイヤーにインタビューを実施した。第1回は、アパレル営業・プレスの新庄翔太さん。FANATICにかける熱い思いを聞いた。

 プロの道に進まなくとも、サッカーを一つのツールにして人生の活路を開くことはできる。「FANATIC Tokyo」への参加を通して新しい夢を見つけたというのは新庄翔太さん(30)だ。

「FANATICへの出場は今回が3度目です。一昨年は準優勝、去年は優勝してニューヨーク大会にも行きました。今年も相当気合を入れて来ています」

 新庄さんは幼稚園からサッカーを始め、東海大一中、藤枝東高、東京農業大と順調にサッカーキャリアを重ねてきた。しかし、プロになりたいと考えたことは一度もなかったという。

「中学は親の薦めで入りました。サッカーが好きだったので、当然部活に入って、全中に出て、静岡県選抜にも選ばれました。でも、そのころから分かっていたんですよね。自分より上手いヤツはいくらでもいる。最後まで諦めなければ可能性はゼロではなかったかもしれないけど、自分にはプロになるという選択肢はなかったです。

 高校は名門・藤枝東へ進学した。

「のちにJリーガーとなる先輩や後輩に囲まれながらの高校サッカー生活は刺激的でした。僕自身はというと、純粋にサッカーを楽しんでいました。仲間と一緒にインターハイや選手権を目標に頑張ることがすごく楽しかった。だから3年生最後の選手権で敗退したときは、かなりの脱力感に襲われました」

 サッカー推薦で東京農業大への進学が決まっていたものの、気は重かったという。

「一つは単純に東京で一人暮らしを始めなくてはいけないというホームシック。それに大学サッカーって当時はあまり盛り上がっていなかったんです。目標を見つけられないまま、サッカーを続けなければいけないのかと思うと、気が沈みました」

 とはいうものの、大学では関東1部リーグへ昇格し、4年間どっぷりとサッカー生活に浸かった。そんな中、新庄さんの人生を大きく変えたのが、学校以外でのサッカー仲間との出会いだった。

「部活の練習が終わったあと、学校外の友人と頻繁に遊ぶようになったんです。そこで出会ったのが、現職場の社長を始めとするファッション業界の人たち。いろんなレセプションに呼んでもらったり、一緒にフットサルをやったりしました。ファッション業界にはサッカーが好きな人が結構多くて、これまでのサッカー経験がつながりを広げてくれたんです」

 もともとファッションに興味があったこともあり、卒業後はそこでの出会いを通じてアパレル会社への就職を叶えた。順調に社会人生活をスタートさせた新庄さんだが、徐々にサッカーに対する焦燥感が芽生えていったという。

「大人になってからは、ただ黙々とボールを蹴るような環境しかなかったんですよね。本気でプレーできるフィールドに飢えていました。そんなとき、仲間に誘われて参加した『FANATIC』でオーディエンスに囲まれてプレーする気持ち良さを思い出したんです。中学・高校時代にさまざまな大会で体感した、あの高揚感が蘇ってきた。でも『FANATIC』は一年に一度しかない……。それなら自分でリーグをつくってしまおうと、一念発起しました」

『FANATIC』のあと、すぐに友人とフットサルの大会『PAULO CUP』を立ち上げた。初めは5チームのみの小規模なリーグだったが、徐々に参加希望者が増え、現在では約15チームほどが登録。毎月、大会を開催できるまでになった。そしてもう一つ、新庄さんがサッカーを通じて叶えた夢がある。

「サッカーが好きで、選手を撮らず、サッカーに関わる物を写真で撮りためていたら、あるサッカーアパレルブランドが声をかけてくれたんです。今年1月には代官山の蔦谷書店で写真展を開催し、僕の写真を使ったアイテムも展示されました。“写真を見てボールを蹴りたくなった人がいたら一番うれしい”というテーマを掲げた作品です」

 新庄さんの生き方が示すように、サッカーに関わって生きる道というのは、必ずしもプロ選手になることだけがすべてではない。一歩引いたところで、サッカーを一つのツールとして自己実現を図ることもできる。

「学生時代は、小さいながらもコツコツと目標を達成して、地道にサッカーと向き合ってきました。そうやって人より長くサッカーを続けてきたことが、今の自分を支えてくれていると感じます。ただ、僕にとってサッカーはすべてじゃない。サッカーを一つのツールとして、さまざまな人たちと出会いたいです。高い意識を持って仕事をして、たくさん遊んで、いろいろなことをインプットしたい。『なんか変なヤツがサッカーをやっているぞ』『意外とサッカーも面白そうだな』と思われるくらいのスタンスで、これからもサッカーに関わっていけたらいいですね」

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(取材・文 波多野友子)

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