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~俺たち同級生~鈴木徳真×高橋光成 前橋育英選手権準V主将&甲子園V右腕、これからはプロとして…[後編]

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前橋育英高の同級生、鈴木徳真(右)と高橋光成に新年の抱負を書いてもらった

 サッカー部、野球部ともに結果を残す学校はあるが、日本トップレベルの2人が同級生でいたことは珍しいのではないだろうか。筑波大から徳島ヴォルティスに入団するMF鈴木徳真と、埼玉西武ライオンズの高橋光成投手は、群馬県の前橋育英高で、一緒の教室で勉学に励んだ仲。卒業から4年。2人が新たな道を歩みだす――。
教室の机も隣同士だった…[前編]

■プロの選択肢

高橋「徳真は高校からプロに行く選択肢はなかったの?」

鈴木「あったよ。でもいろんな人に話を聞いても、意見は分かれていたし、最終的に大学に行った方が自分のためになるんじゃないかと自分で決めた。実際オファーもあって、最初は9割方プロに行こうと思っていたんだけど、ステップアップを狙うんだったらとか、いろいろ総合的に考えて、大学に行こうかという形になった」

高橋「サッカーって行くクラブを選べるのが凄いよね。野球はドラフトにかかるか、かからないかだけ。待つことしか出来ない。自分は西武で良かったと思ってるけど」

鈴木「へー。でもドラフトはビックリしたよね。『1位、高橋光成』って呼ばれた時は、『ウォー!』みたいな。あの時、光成は多目的ルームで観てなかった?俺らは後々その映像をテレビでチェックしたんだけど、みんなで『光成1位だよ!』みたいな感じになって。でも光成は西武以外のチームは行きたくなかったの?」

高橋「家が近いんでね。親も呼びやすいのが良かった。自分はジャイアンツファンだったんだけど(笑)。群馬なんで、巨人の試合しかテレビで流れないので。栃木もそうだよね?」

鈴木「そうだよ(笑)」

高橋「田舎の県は仕方がないんだけどね」



■サッカー選手

高橋「失礼かもしれないけどさ、サッカーを観ていると、大袈裟に倒されることあんじゃん。あれって演技でしょ?」

鈴木「演技をすることもあるね。でもマジで痛いときはあるよ。映像では軽くあたっているように見えるけど、入りどころが悪いと、めちゃくちゃ痛い時がある」

高橋「マジで大袈裟だなと思っていたんだよね。でもサッカー選手が凄いなと思うのは、野球選手ってデッドボールが当たったくらいでキレることがあるけど、サッカー選手ってすごくコンタクトがあるのに全然怒らない。だからすごいなと思う」

鈴木「へー、そんなこと思うんだ。でもコンタクトの頻度の問題じゃない?」

高橋「確かにそうだけど、自分だったらちょっと当たっただけで、『おい!』ってなっちゃうと思う。だから生まれ変わってもサッカー選手は無理(笑)。でもGKだったらできるかな。PKとか全部読めるから。相手の目を見て…、こうやって……」

鈴木「典型的なダメな選手だな(笑)」



■プロの世界

高橋「プロに入ったらまずは怪我だけは気を付けたいよね。最初だからアドレナリンも出るし、アピールするのはいいけど、そこで自分以上のものを出そうとしちゃって怪我しちゃうともったいない。俺はそれで高校時代全く痛めたことのなかった肩を痛めちゃったから」

鈴木「1、2年目でやり過ぎた?」

高橋「やり過ぎたというか、1年間を通して投げ続けることに免疫がついていなかった。学生でいた時と心と体を変えていかないとプロではやっていけないんだと、改めて思ったよね。徳真はメンタル的に大丈夫だと思うけど」

鈴木「その点、俺は大学サッカーでリーグ戦を経験してるのが大きいと思う。強度とかはもちろん違うけど、走る量もプロと同じくらいやってきた自信がある。もちろん、考えが甘い部分はあると思うけどね」

高橋「あと学生との一番の違いはプロはお金を貰ってやらせてもらっているというところかな。自分は給料的にアップもダウンも経験した。結果を出さないとお金にならない。そういったところでもいかに気持ちを整えられるかが大事になると思う。お金は欲しいじゃん(笑)?将来的に海外でプレーしたいっていうのもそこでしょ?」

鈴木「生々しい話だな(笑)」

高橋「でも圧倒的にそこじゃないの?」

鈴木「確かに10倍くらい違うっていう話もある。でも純粋な気持ち、高校生の時に感じた海外志向は、大学のステップを踏んだことで時間はかかっているけど変わらない。今年は夏に(流通経済大の)小池(裕太)が大学の途中で海外に行ったけど、俺は良い判断をしたんじゃないかなと思ってる。意見がいろいろあるのも分かる。でも、結局みんなワールドカップで勝つためにやっていると思うから」

高橋「自分もMLBに行けるんであれば行ってみたいなー。トップクラスですし、そういったところでやりたいという気持ちはずっとある。だからそれがたとえ違う競技でも刺激は受ける。巨人の岡本(和真)なんか同級生ですけど、日本代表に入って四番を打っている。自分も負けていられないよね。世代のトップであり続けたいから」



■お互いプロに

高橋「とにかく徳真とは(来年からプロという)同じ舞台に立つんだから、今度はどっちが先に活躍するかという勝負をしたいよね」

鈴木「そうだね。頑張るよ。それと俺らの世代だとやっぱり東京オリンピックは意識するよね。野球もオリンピックあるんだっけ?」

高橋「あるある。今回からなった。俺も出たいよ。オリンピック選手ってかっこいいじゃん」

鈴木「俺もとにかく出たい。出ることで成長することがたくさんあると思うし、なおかつ地元開催。余計に思いは強い」

高橋「とにかくお互い頑張らないとだね。自分は今年雄星さんがいなくなる可能性が高いので、ピッチャーの枠が空く。チャンスをものにして、ローテーションを1年守れるようにしたい。あとは一つでも多くでも徳真よりメディアに取り上げてもらえるように頑張ることが目標かな(笑)」

鈴木「俺は光成には結果どうこうじゃなくて、野球を心から楽しんでほしい。結果はあとからついてくると思っているから。俺個人としては今年ルーキーイヤーだけど、チームに溶け込んでいこうというのではなくて、チームを引っ張っていく存在になりたい。と言うか、ならないといけないと思ってる。1年でJ1に上げられるような実力もつけていきたい。並行してオリンピックに出ることを視野に入れて、なおかつA代表を目指してやって行きたいです」

―あと今日(2日)は、母校の前橋育英が連覇をかけて高校選手権の初戦を迎えます。

鈴木「選手権という舞台がどれだけ楽しいものかを、自分は経験させてもらった。去年の決勝でピッチを経験した選手も多いし、だからこそ伸び伸びとプレーしてほしい。楽しさを表せたチームが一番結果を出せていると思うし、あと勝負強さや粘り強さが結果に繋がる。楽しみながら結果に貪欲になってほしい。頑張ってください!」

――おわり――

●鈴木徳真
1997年3月12日生まれ。栃木県小山市出身。前橋育英高サッカー部では主将。3年時の第93回全国高校サッカー選手権では準優勝。高校入学前から世代別日本代表でもプレー。筑波大では1年時よりレギュラーを獲得。2年時に大学選手権を優勝。3年時は関東リーグ1部を優勝した。卒業後は徳島ヴォルティスに入団する。

●高橋光成
1997年2月3日生まれ。群馬県沼田市出身。高校2年時に出場した第95回全国高等学校野球選手権大会で前橋育英高を初優勝に導いた。14年ドラフト会議で埼玉西武ライオンズから1巡目指名。ルーキーイヤーに5勝を挙げるなど、プロ通算14勝。今年から背番号を17から13に変更し、更なる飛躍を目指す。

(取材・構成 児玉幸洋)
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