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JFAのコロナ禍支援制度を一気にチェック! 融資額は最大500万円、対象や条件は?必要書類は?

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オンラインで記者発表会を行ったJFA田嶋幸三会長(会議アプリ『Zoom』のスクリーンショット)

 日本サッカー協会(JFA)は7日、新型コロナウイルスで資金難に陥ったクラブチームを救う第一次の財政支援事業として、新たな融資制度を創設した。特設サイト(https://www.jfa.jp/ffsupport/)の申請フォームでは仮申請の受付が始まっており、14日の理事会で予算などの承認が得られ次第、本格的な運用がスタートする予定だ。

 日本国内では現在、政府から全国に緊急事態宣言が発出されており、さまざまなサッカー関連活動も停止している。これに伴い、全国各地のクラブチームやスクールでは収入がストップしたところもあり、運営を支える指導者やスタッフが深刻な財政難に見舞われている。

 JFAの田嶋幸三会長も「多くの小さなクラブから、なんとかして欲しいと悲鳴が上がっている」と現状を認識。「彼らは新型コロナによって活動ができなくなっていて、他の活動を探さなくなっている。何か月か後に再開しようとした時にクラブがなくなった、スクールがなくなったということでは困る」と窮状を見つめる。

 そこで立ち上がったのがJFA主導の直接的な財政支援制度だ。「日本サッカー界の先人たちが長年をかけて築き上げてきたサッカーを楽しむための環境は、一度手放してしまえば復旧に多くの時間を要する」。そうした問題意識の下、国や地方公共団体を通さずに迅速かつ的確な支援ができるスキームの構築を試みている。

 目的は「いつでも、どこでもサッカーを楽しむことができる環境を維持すること」。そのため、まずは「致命的な影響」を受けている街クラブ、スクールの支援に乗り出す。今後のウイルスの感染状況を見通すことは難しいため、当面の支援はフェーズ分けして実施。第一次は緊急支援として、1〜2か月分の資金を無利息・無担保で融資する。

■対象
 第一次支援の対象はサッカー、フットサル、ビーチサッカーのクラブチーム。法人格の有無、登録の有無は問われない。関係者個人の支援はクラブチームを通して行われる。一方、Jリーグ加盟クラブ、JFA加盟クラブ、なでしこリーグ加盟クラブ、Fリーグ加盟クラブは今後、リーグ・連盟を通じた支援が検討されるため、第一次は対象外となっている。

■融資方法・申請期間・返済期限
 第一次支援は申請したクラブに対し、JFAが必要な資金を融資する形。今後、JFAが創設した寄附金額に応じて返済が一部免除になる可能性もある。申請期間は2020年5月7日〜6月末。5月7日〜13日は仮申請期間とし、同14日の理事会決議後に正式手続きがスタートする。返済は最長10年。初回返済は2023年まで延長することができる。利息、担保は必要ない。

■申請条件
 以下の①〜④すべての条件を満たせば申請できる。昨年度の活動実績や、資金的な影響を受けやすい規模、実際の資金的打撃があることに加え、今後も指導者の雇用を維持することが求められている。条件を満たすかどうかはJFAが設置する審査委員会が1週間ごとに判断。融資後はJFA公式サイトで団体名が公表される。
①活動実績:2019年の活動実績があること
②クラブ規模:以下のA〜Dの「いずれか」に該当すること
A.有給コーチが少なくとも1名以上いる
B.アルバイトコーチが5名以上いる
C.自己占有しているホームグラウンドを有する
D)毎月の固定的なキャッシュアウトが100万円を超える
③収入減少:4月(もしくは5月)の月次収入が対前年度同月比で半分以上減少していること
④環境維持:指導者の雇用などのクラブ環境の維持に最大限努めること

■融資額
 融資対象額は当面2か月間のサッカー環境維持を目的としたコーチ給与、クラブハウス家賃・水光熱費、グラウンド土地代など。限度額は法人格を有する場合は500万円、法人格のない任意団体は200万円。もっとも、以下のA〜F基準の総額を上回る融資は受けることはできない。
(A)専任有給コーチ(1人以上):人数×30万円
(B)アルバイトコーチ(5人以上):人数×6万円
(C)コーチではない専任有給スタッフ・マネジャー:人数×30万円
(D)自己所有グラウンド:フルピッチ面数×100万円、フットサルピッチ面数×60万円
(E)クラブハウス事務所:20万円
(F)キャッシュアウト(借入金返済額など):100万円

■上記条件の定義
 上記の条件の定義は以下のようになっている。
(A)専任有給コーチ
当該クラブに所属し、クラブからの収入を主たる収入源にしているコーチ
(B)アルバイトコーチ
当該クラブへの所属有無を問わず、当該クラブから定期的に賃金をもらっているコーチ。業務委託、定期的にチームの指導に加わるGKコーチ等も含む。
(C)コーチではない専任有給スタッフ・マネジャー
上記ABのコーチを兼ねていないスタッフ等で、当該クラブに所属し、クラブからの収入を主たる収入源にしているスタッフ等。マネジャー、トレーナー、メディカルスタッフ等も含む。
(D)自己所有グラウンド
当該クラブで年間を通じて占有的に使用できるホームグラウンドで、かつ、自己所有(土地自体 の自己所有の場合)もしくは、賃借料(土地代)の発生しているもの。サッカーピッチは68m×50m以上。フットサルピッチは原則25m×16m以上、68m×50m以下。
(E)クラブハウス事務所
当該クラブで占有的に使用しているクラブハウス・事務所で、かつ、自己所有もしくは、賃借料の発生しているもの。
(F)キャッシュアウト
当該クラブが年間を通じて支払う人件費、グラウンド賃借料、グラウンド維持費、クラブハウス・事務所家賃、水光熱費以外の借入金の返済額等。

 申請は特設サイト(https://www.jfa.jp/ffsupport/)の申請フォームでのみ受け付け。電話での申請はできない。申請の際にはクラブ情報、法人・法人者情報の他、クラブ規模、クラブ経済状況、申請理由や口座情報など多くの入力事項があるため、あらかじめすべての必要書類(https://www.jfa.jp/ffsupport/supportmenu.pdf)を準備しておくことが推奨されている。

(取材・文 竹内達也)

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