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[選手権]筑陽学園のファンタジスタ松本、ついに覚醒(日章学園vs筑陽学園)

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[高校サッカー注目選手クローズアップ]

[1.2 第87回全国高校サッカー選手権大会2回戦 日章学園(宮崎) 0-3 筑陽学園(福岡) 駒場]

 筑陽学園が誇るファンタジスタがようやく才能の片鱗を窺わせた。
 MF松本翼(3年)は開始わずか2分、FW石橋翔平(3年)のパスをペナルティアーク付近で受けると、一瞬のキープで相手DFを引き付け、FW原孝徳(3年)の先制弾をアシスト。10分には同じような位置から今度は自ら反転してシュート。20分には自陣から相手の急所を突くロングフィードを通してチャンスを演出すると、28分にはズバッとスルーパスを通して決定機を作った。
 圧巻だったのは後半30分。石橋にボールを預け、自分はエリア内にダッシュ。リターンのパスは強めで処理しにくいものだったが、足に吸い付くような完璧なトラップでボールを鎮めると、落ち着いた動作でGKの届かないコースにシュートを放ち、勝利を決定付ける3点目をマークした。
 2日前の初戦では本来のプレーができなかった。吉浦監督からは「あいつはいつも初戦で緊張する」と苦笑され、パフォーマンスについては「全然ダメ」と酷評された。しかし、この日は緊張など感じさせない創造性溢れるプレーで攻撃陣を牽引した。指揮官も「運動量も増えて、多少よくなった」と及第点を与えた。
 コンディションは万全ではない。「1試合目でちょっと左ひざを痛めてしまった。打撲みたいな感じです」。それでも役目をしっかりと果たした。
 背中に負っている「7番」は、筑陽学園ではエースだけがつけることを許される特別なナンバー。そこまで深く考えていないと笑った松本だが、「責任のないプレーはできない」と7番の重みはしっかりと理解している。
 「まだまだ。あんなものじゃない」
 5年前、筑陽学園は初出場で準優勝という奇跡を起こし、一大旋風を巻き起こした。異能のエースがその能力を全開させた時、奇跡への道は再び開かれる。

(取材・文 神谷正明)

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