beacon

ブラインドサッカー日本代表が強化合宿…強豪対策の戦術練習行い、東京パラリンピックへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

ブラインドサッカー日本代表が強化合宿を行った

 東京パラリンピックに出場する5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表は11日、都内の奥戸総合スポーツセンター陸上競技場で強化合宿を行った。

 ブラインドサッカーは今月2日に東京パラリンピックに参加する選手10名を発表。強化合宿には佐々木ロベルト泉佐々木康裕日向賢園部優月寺西一川村怜田中章仁黒田智成、GK神山昌士が参加した。GK佐藤大介が私用で不参加となった一方、メンバー外となっていた丹羽海斗、加藤健人が練習に参加した。

サイドを使った攻防

 厳しい暑さの中で、選手たちはウォーミングアップからボールを使ったトレーニングを実施。GKから近距離でボールを受けた後方の選手が、逆のサイドフェンスまたは最前線の選手にロングパスを出し、受けた選手が起点となってボールをさらに展開する。高田敏志監督は「手数をかけて、一番前のゾーンに入れるためのトレーニング」と明かす。

高田敏志監督が選手たちに指導

 日本は、4月末から5月頭に行われた「Santen IBSA ブラインドサッカー ワールドグランプリ 2021 in 品川」で初の決勝進出を果たし、準優勝という好成績を収めた。後方の選手のボール保持からGKにバックパスし、そこからロングパスで最前線につなげる戦術がハマり、決定機を創出。精度の高い連係を世界に知らしめた。しかし、優勝したアルゼンチンは、その日本の戦術に即座に対応。GKからのロングパスを何度もスライディングでカットし、日本の攻撃を封じてみせた。

 高田監督は「おそらくレベルの高い国とやると、あのワールドグランプリでアルゼンチンがやったことは、ほぼ真似してくるだろうなと」と推測。「同組の中国とブラジルは、確実にあそこを狙ってハメにくると思う。GKから直接前線に投げるんじゃなくて、ボールを前進させる手数をかけて、一番前のゾーンに入れるためのトレーニングです」と意図を語った。

手数をかけた攻撃のトレーニング

 重点的につなぎのトレーニングを行った後は、紅白戦を実施。主将の川村ら主力組は日差しが照り付ける中でも豊富な運動量で動き、堅い守備で相手の攻撃を封印。攻撃では積極的にシュートを放ち、黒田と川村が得点を決めた。ワールドグランプリの反省と暑さへの順応を狙う日本。8月29日の初戦まで、残り時間短い中で調整を続けていく。

鋭いシュートを放つ

 日本はグループリーグでブラジル、フランス、中国と対戦する。ワールドグランプリで勝利したフランスは把握しつつ、高田監督はブラジルと中国をマーク。ブラジルについて「皆さんご存知のように世界チャンピオン、絶対王者。ここ数年は見れていないんですけど、本当のトップオブトップだと思っています。なので予選で当たれて本当に良かった。予選だろうが決勝だろうが関係なく、当たれるっていうことで楽しみにしています」と語る。

 また、指揮官はグループリーグ3試合でポイントになる相手に中国を挙げる。「とにかく個人技、ドリブルが素晴らしい。体も強いし、若くて、走れる。彼らの得意な攻撃を、我々がどう抑えて、点を取るかという話になる。彼らのドリブルのすごさ、雑技団レベルなので、ぜひそれを楽しみに見てほしい」と語った。

 チームの得点源である黒田は「ゴールを決めるということが、ひとつの大きな役割」と自信を垣間見せ、「ゴールを決めるということで、恩返しができれば嬉しい」と活躍を誓う。ここまでの協力者のために「パラリンピックに出場していい試合をして世界と戦って、そして世界一になることが、そういう人たちに対する恩返しになる。最高のプレーで、今まで積み上げてきたすべてを出して、戦いたい」と意気込んだ。

 キャプテンの川村は「ブラインドサッカーという競技を、日本の多くの方に知っていただくとてもいい機会になる」と東京パラリンピックの意義を語る。「視覚障がい者が本気で打ったシュートを、健常者が本気で止めに来る。その真剣勝負の中には、障がいの有無はピッチ上には存在しない。そういう競技性を多くの方に知っていただいて、僕たちの戦いを通して何か伝えていきたいなと思います」と大きな目標も口にした。

(取材・文 石川祐介)

●東京パラリンピック 5人制サッカー(ブラインドサッカー)特集ページ
●ブラサカ/障がい者サッカー特集ページ
●日本障がい者サッカー連盟(JIFF)のページはこちら

TOP