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体育会系学生の就活の“カギ”とは…マイナビ木村雅人氏とASSIST大津祐樹氏が提言

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マイナビアスリートキャリアの木村雅人事業部長(左)とASSISTの代表取締役社長 CEOの大津祐樹

 サッカーを通じて培った経験や能力は、社会に出て武器になる――。株式会社マイナビの『マイナビアスリートキャリア』は20日、大学サッカー部支援プロジェクト『Football Assist』を運営する株式会社ASSISTと共同で体育会系学生の就職活動事情について、メディアブリーフィングを開催した。

 東京都内で行われたイベントには、元Jリーガーで、現在はマイナビアスリートキャリアの事業部長を務める木村雅人氏とASSISTの代表取締役社長 CEOで、ジュビロ磐田所属の大津祐樹氏が登壇。「最新調査から読み解く体育会系就活/スポーツで培った力を社会で活かせる人材育成を目指して」と題したトークセッションで、意見を交わした。

 競技者として向き合ったスポーツから一線を引く瞬間。中学卒業、高校卒業といった節目を乗り越えてきた体育会系学生も、就活を前に人生の決断を迫られる。大きく一歩を踏み出せる者もいれば、何度も立ち止まって考える者もいるだろう。そこから動けなくなることもあるかもしれない。

 木村氏と大津氏は、就活という試合に臨むにあたり一番大事なのは、“自分を知ること”だと話す。マイナビの調査からも、体育会系学生の自己認識と適正検査の結果には相違があると判明。それらが企業とのミスマッチや早期離職に繋がると木村氏は懸念を語る。

「自分ができると思っていることと、実際に適正検査を受けて出てくるスコアが違って見えているのは、就職活動の観点から言うとあまりよろしくない。自己認識ができていないと面接官に捉えられてしまう。仮に内定が出ても、業務に入ったときに、できると思っていたことができないとか、求められていることに応えられないというのは、しんどい状態を作り出してしまう」

 多くの体育会系学生が、部活動で得た経験から「礼儀・挨拶(82.4%)」「上下関係の理解(66.4%)」「コミュニケーション能力(64.1%)」「チームワーク(61.2%)」を自身の強みと認識する中、適正検査ではそれらは低いスコアを記録。一方で、「チャレンジ志向(45.0%)」「達成志向(36.5%)」といった自己認識で低い割合となった項目が、適正検査では強みと分かり、この2項目は木村氏によると「いろいろな事業体で求められている人材」の特徴でもあるという。

 試合に勝ちたい。大会で優勝したい。ゴールを決めたい。無失点に抑えたい。そのために――。サッカーを始めた頃から今も尚抱く強い思いや継続している努力や行動は、一般学生には経験しがたい体育会系学生の武器とも言える。

 さらに2人は、“考える力”の重要性も指摘。マイナビによれば、採用担当者が新卒学生に求めるベーススキルの上位項目に「主体性」と「実行力」が並んでおり、「考える」という能力が、社会で根本的に必要とされる力だという。木村氏は、「考える力は当然スポーツでも必要だし、ビジネス上でも生きていく上でも必要」と断言。続けて次のように説明している。

「ビジネス上でも、今この状況をより良いものにしていく。あるいは、サービスそのものを良くしていくために、どういうことが必要なのか、顧客が何を求めているのかということもしっかり捉えていくというのが必要になっていく。そういうことを考えるというところから始まっていかない限りは、何も生まれてこない。あらゆることのベースになる能力として、考える力があると思う」

 また大津氏は、「トライすることであったり、挑戦することでいろいろと経験し、その中でも失敗を成功にどう持っていくかというところを考えながらやってきた。そういったところで(考える力が)身に付いた」と自身の実体験からアドバイス。木村氏も、考える力は大学卒業時までに育むべき力であると付け加えた。

 体育会系学生の就活の“カギ”は、自分を知ることと考える力を身に付けること。サッカー、スポーツへ注いだ情熱をまずは就活に。そして、その先の社会人生活へ注いでいけるか。

(取材・文 成田敏彬)

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