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[高校選手権]主将の待望復帰で青森山田が3年ぶりに鬼門突破

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[1.2 全国高校選手権2回戦 青森山田2-0神戸科学技術 市原臨海]

 青森山田(青森)は苦しみながらも初戦を突破した。神戸科学技術(兵庫)との2回戦は後半26、35分にFW野間涼太(3年)が連続ゴールを奪い、2-0。全国選手権では2年連続初戦敗退の屈辱を味わっていた「東北の雄」が3年ぶりに初戦を勝ち上がり、3日の3回戦(対高知)進出を決めた。

 U-17日本代表のMF柴崎岳(2年)、右ひざ靭帯断裂の重傷から復帰したMF椎名伸志主将(3年)がダブルボランチを組む青森山田は中盤でゲームを組み立て、チャンスをうかがう。神戸科学技術もエースのFW伊佐耕平(3年)、FW鷲尾康介(3年)が前線で起点となり、左サイドのMF呉島堂真(3年)も果敢に仕掛け、互いに攻め合う激しい展開となった。

 しかし、予期せぬアクシデントが神戸科学技術を襲った。前半20分過ぎに左ひざを負傷した伊佐はその後も痛みに耐えてプレーを続けたが、後半3分に無念の交代。エースを欠く緊急事態にも一丸となって勝利を目指したが、後半26分、先制点を許してしまった。

 MF三田尚希(2年)のパスを受けた野間は鋭い切り返しでDFをかわし、右足でゴール左隅にねじ込む。青森県大会2試合で10得点を記録したストライカーのひと振りが、ついに均衡を破った。

 神戸科学技術も後半29分、呉島の左クロスに鷲尾が合わせるが、GK櫛引政敏(2年)が好セーブ。守護神の好守で流れを相手に渡さず、後半35分、三田の左クロスを野間がヘディングで押し込み、試合を決定付けた。

 「苦しい、厳しい、難しい。あらゆる言葉をずっと選手に言い続けた。そういう試合だと分かった上で向かっていかなければならないと」。黒田剛監督は粘り強く、我慢強く戦った選手を称えた。

 前々回大会は作陽(岡山)、前回大会は準優勝の鹿児島城西(鹿児島)という強豪と激突し、初戦で散った。「去年の経験者が6人いたので、そういう経験からも冷静にやってくれたと思う」。2年分のリベンジ達成に黒田監督は安堵の表情だった。

 8月に右ひざ靭帯断裂の重傷を負った椎名も驚異的な回復力で全国大会に間に合わせた。「12月26日の練習試合では前半だけ使って、まだ20%ぐらいかなと思っていたけど、今日は70、80%まで戻っていた」と黒田監督は言う。この日はバランスに終始したが、コンディションが万全に戻れば、さらにチーム力は高まるはず。“鬼門”の初戦を突破し、追い風ムードの青森山田に、もう恐れるものはない。

<写真>青森山田MF椎名(7番)
(取材・文 西山紘平)

特設:高校サッカー選手権2009

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