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[高校選手権]全治8ヵ月の負傷乗り越えた椎名、「プロになる」夢へ再出発

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[1.11 全国高校選手権決勝 山梨学院大付 1-0 青森山田 国立]

 1点差に泣き、日本一には手が届かなかった。「チームとしても個人としても雰囲気にのまれてしまった。(後半相手を追い込む時間もあったが)相手の守備が粘り強かった」と残念がった。だが緊張から解放されたためか、青森山田(青森)のU-18日本代表候補MF椎名伸志主将(3年)の試合後の表情は晴れやかなものだった。「正直、最初はここまでこれると思っていなかった。1試合1試合チームが成長するのが分かった」。

 椎名は昨年8月に左膝じん帯断裂の重傷。診断は全治8ヵ月で選手権出場は絶望、という考えが大方の見方だった。だが、必死のリハビリを経て、主将はわずか4ヵ月でピッチへと舞い戻ってきた。今大会、椎名は「プレーできてうれしい」という喜びをピッチの上で表現し、ケガの期間支えてくれた人たちのために戦い続けた。

 だが、その身体は決して万全ではなかった。決勝後、「無理は・・・していました」と明かした椎名。本来のリハビリ期間を大幅に削ってきたことによる負担は少なからずあった。連戦による疲労・痛みもあり、思うように動かない身体。好パスを送り、激しい守備をする一方で、相手に簡単にボールを引っ掛けられてしまうような場面もあった。
 自分自身のプレーができていないことは本人が誰より感じていた。「痛みを感じさせないプレーをしたかったけれど。これが今の自分の姿です」。

 自分が万全だったら・・・という悔しさはある。だが、高校日本一の夢は後輩たちに託すこととなった。これからはケガのために叶える事ができなかった夢、「プロになる」という夢を追い求めていく。
 進路は関東の大学王者・流通経済大。ケガで挫折しそうになった時期を乗り越えて復活を果たし、チームを全国準Vへと導いたMFは「大学でレベルアップさせてプロへいきたい」と誓った。

<写真>青森山田MF椎名
(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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